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第13話
コンコン。
細工の良いドアがノックされ返事をすると静かに開かれた。
「世蓮様。近衛様がお見えです。」
執事に案内されて孝惟さんとヒロが姿を現した。
「お前ら・・・何してるんだ?」
意味深な笑顔を浮かべながら孝惟さんがベッドで抱き合う僕とシアを交互に見る。
「ヒロ!いらっしゃい!!」
孝惟さんの少し後ろに居たヒロを見付けたシアは、するりと僕の腕から摺り抜けてヒロに駆け寄って抱き付いた。
僕を癒やす為に居るはずなのに・・・
変な敗北感に陥る。
「シアはヒロが大好きなんだな?」
「うん。ヒロは僕の大切な友達だからね。」
抱き合う2人を微笑ましく見つめる孝惟さんにシアが満面の笑顔で答えた。
「そうか。良かったな?ヒロ。友達が出来て。」
頭を撫でる孝惟さんに綺麗に微笑んでヒロが頷いた。
「孝惟さん。ヒロと遊んでもいい?」
「あぁ、いいよ。」
孝惟さんに許可を貰いシアはヒロを連れて部屋を出て行く。
その楽しそうな後ろ姿を僕達は穏やかな気持ちで見送った。
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