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第14話
執事が淹れてくれた紅茶を部屋のテーブルで孝惟さんと2人で飲む。
「世蓮とこうやって2人でお茶するのは初めてだな?」
ティーカップ片手に孝惟さんが微笑む。
確かに。
だいたいこんな朝っぱらから孝惟さんがこの屋敷に来る事自体珍しいし。
それに・・・孝惟さんが来る時は必ず颯天に用事がある時だから。
僕達がこうしてるのさえ不思議なくらいだ。
「今日はお仕事は?」
焼きたてのクッキーを差し出せば長い指がそれを摘む。
「休んだ。」
クッキーを頬張りながら短く答えが返ってきた。
まさか・・・
「颯天に何か頼まれました?」
「うん?・・・まぁ、それもあるんだけど・・・」
曖昧に答えながら紅茶を口に含む。
心配して貰えるのは嬉しい。
でも、僕の為に孝惟さん達まで巻き込むなんて・・・
「すみません。ご迷惑掛けて・・・」
何だか凄く申し訳なくて僕は孝惟さんに頭を下げた。
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