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第16話

「ヒロは・・・幸せですね?」 「へ?」 少しの沈黙の後、僕が囁いた言葉に間抜けな返事が返ってくる。 いつもは見せない間抜けな顔で孝惟さんが僕を見た。 「だいたい・・・僕もでしたが、主人は身勝手で僕達を人形かペットくらいにしか思わないものです。」 いつからこの社会に“人身売買”や“男娼”というものが出来たかは知らない。 社交界でそれがごく当たり前に行われるようになったかも。 “買った側”は好き勝手して“買われた側”をいたぶり弄ぶ。 それがこの大金持ちが集まるくだらない集団の暗黙の了解。 でも・・・ 「孝惟さんはこんなにもヒロの事を考えて守ってくれる。だから幸せです。」 柔らかい朝の光に包まれる窓の外に視線を投げる。 颯天の温もりはこの日差しによく似てて好き。 「だったら・・・世蓮は世界一の幸せ者だな。」 そう呟いた孝惟さんに視線を戻すと、どことなく愛しい人に似た笑顔を向けてた。

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