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第19話
少しずつでいい。
僕の愛する人が大切にしてるものを僕も大切にしたい。
そしていつか貴方と一緒にその大切なものと穏やかな時を過ごせたら。
僕の人生はきっと良いものになる。
「ありがとうございます・・・それじゃあ・・・もう少しここに居てもらっても?」
「構わないよ。今日はずっとここに居る。たくさん話をしよう、世蓮。」
柔らかい笑顔でそう囁く孝惟さんに頷く。
少しずつ、少しずつ。
こうやって貴方が居ない寂しさを次に会える楽しさに変えていけたら僕の雫はもう溢れないかもしれない。
貴方が帰ってきた時に笑顔になれるように。
今はほんのちょっとだけ孝惟さんに甘えよう。
「紅茶・・・お代わりは?」
「あぁ。貰うよ。」
テーブルの上の硝子細工のベルを振れば心地良い高音が響く。
穏やかな日溜まりの中。
さっきまでとは違い僕の心は湖のように澄んでいた。
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