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第3話

静まり返った屋敷の広い廊下を足音を抑えて歩く。 地下駐車場に停めてあった愛車を走らせて帰り着いたのはもう日付を跨いだ時間だった。 知らせて無かったせいで使用人達に見つかる事も無く。 緊急避難用に作られた秘密の通路から中に入れた。 今夜は新月。 月明かりのない廊下は寂しさを一層募らせる。 こんな夜に1人にするなんて・・・。 あのクソジジイ共め。 世蓮が泣いてたら許さねぇ。 歩き慣れた廊下を長く感じながら漸く自室の前に辿り着く。 世蓮にも部屋はある。 でもきっと愛しい人はここに居るはず。 そんな根拠の無い自信を持ちながら俺はドアを開けた。

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