84 / 130
第4話
真っ暗な部屋の中。
慣れた足取りで窓辺に近いベッドに歩み寄る。
布団の膨らみに思わず顔が綻ぶ。
少しだけ空いたベッドに腰掛けて掛け布団から覗く柔らかい髪に指を絡める。
髪の毛の1本でさえ愛しい。
世蓮さえ腕の中に居てくれたら他は何も要らない。
こんなふうに思えるのはきっと世蓮に溺れてるから。
「・・・ゆ・・・め・・・?」
小さく身動いで大きな瞳が虚ろなまま俺を捉えた。
長い指が瞼を擦る姿にさえ欲情しそうになる。
「起こした?ごめんな・・・」
暗い部屋に浮かぶ白い頬に触れて呟けば、整い過ぎな端正な顔が微笑んだ。
ともだちにシェアしよう!