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第11話
「行ってくる。」
「・・・いってらっしゃい。」
朝の静寂の中、見送りに出て来てくれた世蓮が小さく微笑んでそう呟いた。
本当は1人屋敷に残されるのを寂しいと思ってるのにそんな姿は絶対に見せない。
そんな強い世蓮も大好きだよ?
でもね。
たまには泣いて縋り付いて欲しい。
「行かないで。1人にしないで。」って。
少し肌寒い玄関先にストールを肩から掛けてくるまったまま佇む姿に愛しさがこみ上げる。
儚い笑顔は寂しさの現れだって自惚れてもいいかな?
会社から連絡を受けて俺が帰ってきてると知った執事やメイドが見送る中、俺はもう一度世蓮の細い体を抱き締める。
『早く・・・帰ってきて下さいね。』
さっき腕の中で紡がれた言葉を思い出す。
片時も離れたくない。
こんなに俺を求めてくれる人は他には居ないから。
「!颯天・・・!?」
俺は抱き締めてた世蓮の体を抱き抱えた。
「やっぱ、無理。」
そう呟いてそのまま車に向かう。
「ちょ・・・颯天!?」
腕の中でジタバタする世蓮を無視して助手席側まで行くと、ドアを開けてそのまま車に乗せた。
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