101 / 130

第21話

孝惟の話に依ると。 朝起きて世蓮の姿が無いのに気付いたシアが執事やらメイド達を問い詰めて俺が連れて行った事を突き止めた。 俺が居ない間、世蓮を独占出来ると思ってたのに世蓮は居ない。 それで怒りを爆発させたシアは短い休暇を楽しんでた孝惟の別荘に行き、俺の所に連れて行けと大騒ぎしたらしい。 「あんまり駄々を捏ねるから連れて来た。」 大きなため息を吐きながら孝惟が教えてくれた。 世蓮に会えなくなる不安からシアの存在をすっかり忘れてた。 「ごめん、孝惟。」 せっかくの休暇を邪魔した事を素直に謝る。 「気にするな。結構楽しかったし、ヒロもシアに会えて喜んでたからな。」 ヒロの肩を愛しそうに抱き寄せて呟いた。 賑やかな声に視線を戻すと。 世蓮に甘えるシアを口では面倒くさそうに言いながらも、まんざらではない顔の恋人が苦笑いしてた。 そんな世蓮を見る俺の顔はこの世で一番幸せそうなんだろうなぁ。 ちょっと邪魔は入ったけど。 仕事漬けの日々が続くと思って落ちてた俺の気分は今日の空みたいに澄んで晴れていた。

ともだちにシェアしよう!