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帳 第1話
「・・・ぁ・・・っ・・・あぁ・・・」
間接照明が仄かに辺りを照らす部屋の中に響く自分の甘ったるい喘ぎと卑猥な水音。
聞きたくなくて耳を塞ぎたくなるけど、その役目を果たすはずの僕の両手は今ベッドに優しく縫い付けられている。
「気持ち良いか?」
耳に寄せられた唇が紡ぐ声は艶っぽい熱を孕んでて、それさえも僕の体は温度を上げる。
声に出したくても出てくるのは声にならない喘ぎで、肯定の意味を込めて頷けば満足そうに微笑まれた。
「・・・も・・・でちゃ・・・っ・・・」
「いいよ・・・全て吐き出して・・・」
声は優しいのに優しくない振動が僕の体を快楽の淵に追い込む。
もう何も考えられなくて、僕は素直に本能に従う。
「・・・あっ・・・いっ・・・いくっ・・・!」
「・・・っ・・・」
いつの間にかベッドから離された手で僕を組み敷く背中に回してしがみつく。
ドロドロに溶かされた脳が真っ白になって快楽が弾ける。
自分の外と中に熱が放たれて僕の体は喜びに小さく震えた。
「可愛いよ、とても。気持ちよかった?」
大きな波が引くのをしがみついて待ってると、震える体を優しい温もりが包んでくれる。
この時だけは僕は幸せを感じられた。
それが例え仮初の幸せだとしても。
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