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第2話

ここは眠らない街・ガルーダ。 昼間は賑やかな中心部から少し離れた街の外れ。 太陽が登っている間は閑散とした場所。 でも夜になるとそこは昼間と変わらない位に明るく煌びやかに輝き出す。 その華やかな街の一角に僕の暮らす『椿楼』はある。 「さぁ今夜も綺麗に咲くんだよ。」 楼主の声で今日が始まった。 会員制高級男娼館『椿楼』。 花街と呼ばれる一区画の一番奥にあるこの店は、他の飲食店や風俗店とは少し異質なものだった。 会員制と謳われるだけあって会員になるには店側の厳正な審査が行われる。 それは年収だったり会社の経営状況だったり、本人の人間性や家族構成・犯罪歴なんかもその対象になっていた。 その審査にパスした人物。 このガルーダでも本当にごく僅かな選ばれた人間だけがこの店の『客』として招かれるのだ。 「牡丹?どうかしたのか?」 宛てがわれた部屋の窓辺でボーッとしてた僕に声が掛けられた。 「ううん、何でもない。お客様?」 「19時に幸神様がいらっしゃる。準備しとけよ。」 この『椿楼』の男娼にはそれぞれ世話係の男性が1人付いている。 僕付きの世話係・響が寝具を整えながら今日の予定を教えてくれた。 完全予約制で店側が男娼のスケジュール管理はしてくれる。 だから僕達はそのスケジュールに沿ってお客様を持て成すのだ。 「今日も幸神さん、来てくれるんだ。」 ご贔屓のお客様がほとんど居ない僕にとっては有難いんだけど。 ここ数日、毎日来てくれるから少しだけ心配になってしまったんだ。

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