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第7話
ノックしてドアを開けるといつもとは違うキッチリとスーツを着込んだ楼主が出迎えた。
「座りなさい。」
促されて響と2人でソファーに腰掛けると楼主も向かい側のソファーに腰掛けた。
「牡丹、お使いを頼まれてくれないか?」
「お使い?」
「あぁ。商店街にある『グレンツェン』知ってるな?」
懐かしい名前に頷くと楼主は話を続けた。
「今夜、大事な会合がこの『椿楼』で開かれる。その席にお出しするお菓子を注文してあるんだ。響と2人で受け取りに行ってはくれないか?」
お使いの内容に僕は驚いた。
まだ店に出る前は楼主に頼まれて系列店にお届け物したり、買出しに行ったりしていたけど。
男娼として店に出るようになってからはお使いなんて一切頼まれなくなった。
そういう雑務は世話係や他の従業員が担っているからだ。
なのに何で急にお使いなんて頼んで来たんだろう・・・
不思議に思って楼主を見詰めてると穏やかに微笑んで口を開いた。
「ここ何日も幸神様が来なくて体力が有り余ってるだろ?部屋で腐ってても仕方ないからね。外の空気でも吸って来なさい。」
楼主の意図してる事が分かって視線を外す。
僕の意志に反して頬が熱く熱を持つ。
「響、牡丹を頼んだよ。」
「畏まりました、楼主様。」
ここ数日塞いでいる僕を気遣った楼主の優しさに久し振りに気分が少しだけ晴れた気がした。
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