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第8話
久し振りに私服に着替えて外に出る。
仕事の時はバスローブを着てるせいで仕事以外の時は殆どがTシャツに短パンとラフな格好しかしてないから、久々に袖を通したトレーナーとジーンズにちょっとだけ違和感を感じていた。
店を出て繁華街の大通りを歩く。
まだお昼前の花街は閑散としててどこか寂しげだ。
大通りを抜けて花街とその先の境目にある大きな門の所まで来ると僕はゆっくりと振り返った。
高さのバラバラな建物を飾る派手な看板やネオン。
所々に置かれてる大きなゴミ箱に、酔い潰れて道端で眠っている人。
朝方まで営業してたお店の人だろうか?
花街の住人らしき人達が数人、足元をふらつかせながら歩いている。
あまり外出しない僕にとってその光景は凄く珍しくて新鮮だった。
自分の暮らしている街がこんな朝を迎えてる。
それはちょっとこそばゆくで居心地がそう悪くはなかった。
「牡丹、行くぞ。」
少し前を歩いていた響が門の外から僕を呼ぶ。
その光景もまた新鮮で思わず緩んだ頬をそのままに小走りに花街を出た。
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