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第12話
「綺麗だよね、ここのお菓子。」
突然声を掛けられてビックリした顔を上げる。
声をした方を見るとそこにはとても綺麗な人が瞳をキラキラと輝かせながら細い身体を屈めてお菓子を覗き込んでいた。
その横顔は本当に綺麗で僕は思わず見蕩れてしまった。
「君はどれが美味しいと思う?」
お菓子から視線が僕を捉える。
正面から見た顔もまた綺麗で思わず息を飲んだ。
「ねぇ、聞いてる?」
問われて慌ててお菓子へと目を向ける。
「あ、あれ・・・」
「あれ?」
無意識に指差した先にはイチゴがたくさん乗った特に珍しくも無いショートケーキだった。
しまった・・・何でよりによってショートケーキを指差してしまったのか・・・
他にも可愛らしくて美味しそうなケーキやお菓子がたくさんあるのに・・・
綺麗な人に見詰められてドキドキしてたからって適当に指差した事を後悔した。
気分が沈んで俯いた僕の横でクスッと小さな笑い声がする。
やっぱりバカにされたよなぁなんて思った時。
「イチゴがたくさん乗ってて美味しそうだね。すみません、そのショートケーキ5個下さい。」
声に驚いて顔を上げると綺麗な人は綺麗な笑顔を浮かべて「ありがとう」と僕に呟いていた。
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