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月の欠片 第1話

遮光カーテンで光を遮られた薄暗い室内。 そこは殺風景で殺伐としている。 僕はこの部屋が意外と嫌いじゃない。 「・・・何を考えてる?」 ふっと声が降ってきて見上げれば、普段見れない余裕のない顔が僕を見下ろしてた。 「貴方の事に・・・決まっ・・・んっ・・・」 最後まで言葉を発する事無く塞がれた唇。 意外と柔らかい唇は普段のこの人からは想像出来ないくらい熱い。 柔らかい唇を堪能しているとまだだよと言わんばかりに舌が口内に差し入れられて僕を翻弄する。 自分勝手に僕に入ってくる癖にその動きはとても優しい。 「・・・ん・・・ふぅっ・・・っん・・・」 鼻から抜ける息が甘くて嫌になる。 でもこの人から与えられるもの全てが愛しくて僕はいつもこの身勝手で傲慢な男の腕の中に最後には落ちてしまっていた。

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