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第27話
「う、あ……、待っ、て」
反応したそれを隠し切れるわけもなく、彼に下からなぞられるようにして触れられる。裏筋に爪を立てられるが、服を挟んでいるせいでその刺激がちょうど良い快感となる。
あの日以降ひとりで処理をすることもなく、しばらく彼にも触れられていないその先端からは、染みを作るほどの先走りが溢れてきた。
「やめて、くれ……っ、恥ずかし、い」
「ダメ。そういうあなたがたまらなく可愛いって、前にも言いましたよね。全部俺に見せて」
立っていられなくなり座り込んだ私を、彼はそのまま冷たい床に押し倒した。ベッドに誘うか、ソファに誘うか、私からいくらでも提案することはできるはずなのに、そうできないのは、いまだに揺らいでいる自分がいるからだろう。
いつまで経っても弱虫なままだ。私には何もない。
「隆義 さん、何を考えているの? 俺だけを見ててください」
「待っ……て、」
「さっきからそればっかり。待てないです」
頬に、鼻先に、首筋に、優しく口付けられる。視線の先には優しい表情の彼がいて、それだけで泣きそうになってしまう。
「脱がせますね」
慣れた手つきで服を脱がされ、咄嗟に隠そうと下に伸ばした手には、彼の指が絡む。手の甲や指先を遊ぶようになぞられると、ぞくぞくとした快感が背中を駆け抜けていく。
何も言い返すこともなく、口を開いて荒い呼吸をする私を見た彼が、ふっと笑った。
前髪をかきあげる彼があまりにも色っぽくて、私の喉が鳴った。
「本当に可愛い人だ」
あっという間に、私の身体は彼に好きにされてしまう。
「ここ、気持ち良いですか?」
「だから、待っ……て、くれ、」
「ねぇ、俺のも触ってください」
彼に誘導され、互いの性器を握り合った。私はぼんやりとしてきた意識の中で、必死に手を動かす。
互いの先が擦れるとあまりにも気持ちが良く、呼吸が乱れる。「これ、好きなんですね」と彼が耳元で囁き、以前のようにお互いのものを擦り合わせるように握り直した。
あの日の記憶が、快感と共に鮮明に思い出され、私はそれだけのことで呆気なく果ててしまう。
「だから、待ってって、」
「でもあなたが可愛いから。隆義 さん、俺まだだから、もう少しだけ、いい?」
「え、あっ、」
抵抗する間もなく彼とは反対を向かされ、後孔が晒される。あまりの恥ずかしさに思わず暴れると、強めに頭部を押さえつけられた。
「痛いことしないから、ちょっとじっとしてて」
「だっ、て、あっ、あぁ、……っ」
太腿の隙間に、彼のペニスがねじ込まれた。自身や後孔とも擦れ、これまでとは比にならない快感が襲う。
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