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「んっ」  同時に、一番長い指がもっと奥に。  舌が舌に絡まり、口内がいっぱいいっぱいになる中、慎重に根元まで捻じ込まれた。 「ん~~……っ……っ……っ」  節くれ立つ長い指の輪郭をお腹の底でステュは痛感した。  深々と沈んだ先で小刻みに前後に動かされると、えもいわれぬ感覚が増して、思わず力が入る。貫かれている入り口をキュッと窄めた。 「締めつけ、すごいな」 「はぁ、ぅ……」 「俺もこんな風に抱き締めてやってくれるか」 「っ……っ……?」 「ずっと飢えてる」 「……勇者様、お腹減ってるの?」 「空腹だ。お前のこと、早く味わいたくて堪らない」 「ッ、ッ……勇者様、の、変態ぃ……っ」  ディナイが何を言っているのか意味がわかって、ステュは目を回しそうになる。  二人の間で心細そうにピクピクしていた、初心極まりない熱源をディナイが見ているのに気がつくと、羞恥心に拍車がかかった。 「えーと、その、あんまり見ないで……ください」 「触りたい」 「えっ? ちょ、待っ……」  初々しい色をした熱源が大きな掌にやんわり包み込まれた。 「ん……っ……ま、待って……」  ディナイはソレにまで直に香油を滴らせた。  それだけでも際どい感覚だというのに、上から下までぬるぬるになった熱源を優しくしごかれて、ステュは切なげに眉根を寄せた。  同時に、後孔内の何やらコリコリとしたところを指先で集中的に小突かれる。  甲斐甲斐しい愛撫を前後に施され、為す術もないステュは、ディナイの膝の上で悶絶した。 「いっ、いつも子ども扱いしてきたくせにっ……こんなスケべなことするなんて……!」  事あるごとに末の弟のように扱われてきたステュが涙ながらに喚けば、ディナイは真顔で断言する。 「もう子ども扱いしない。これからは恋人扱いする」  ステュは、もう、限界だった。 「ぅぅ……勇者様の服……汚しちゃ……」 「汚していい」 「ぇぇっ……そんな、ぁ……っ……」 「汚せ」 「ぁ、ぁ、ぁ……っ……きっ……きそぉ……」 「射精()せ、ステュ」  ステュはディナイにぎゅっとしがみついた。  ヒイキしないで前も後ろも熱心に可愛がる、過保護な両手に細腰を反らす。  かつてない絶頂に身も心も委ねた……。 「その服、俺が買い取ります、勇者様」 「いきなり冷静になるな」 「コートは無事だ、よかったぁ。めちゃくちゃ高そうだから、汚したらシャレにならな、い……」  ステュは釘づけになった。  自分を寝台に横たえて立ち上がったディナイが、ロングコートを脱いで、一思いにシャツまで脱ぎ捨てた。  誰もが縋りつきたくなりそうな上半身がお目見えする。  大きな傷跡は見当たらない。  なだらかな肩、厚い胸板、程よく割れた腹筋、贅肉が削げ落とされてシャープな腰回り。  敏捷性に優れた、過剰に鍛え過ぎていない、戦闘に実用的な肉体にステュは圧倒された。 (……待てよ……)  ディナイが脱いだ、それ、すなわち。  いよいよ本番なのでは。 「ゆ、ゆゆっ、勇者様、あの、まだですね、心の準備がですね」 「もう待てない」  ディナイは大股で寝台に戻ってきた。  忘れていた緊張感が舞い戻ってカチコチになったステュに覆い被さる。汗ばむこめかみに張りついた、ハチミツ色の髪を丁寧な手つきで取り除いた後、まさかのおねだりをしてきた。 「名前で呼べ」 「え」 「ディナイでいい」  何もかも初めてだらけだというのに、さらなる無理難題を押しつけてきた半裸のディナイに、ステュは呆れ返った。 『あんた、じゃねぇ。勇者様だろうが』 「ッ……最初に村で助けてくれたとき、勇者様が言ったんだよ。俺は勇者様だって。あのときの顔、めちゃくちゃ怖かった。今でも夢に出る」 「俺に言われたから、勇者様呼びをずっと守ってるってことか?」 「そうですけど」 「へぇ」  落ち着かない体勢で、至近距離で、本番直行かと思いきや寄り道されて、ステュはまごついた。 「魔物から助けたときより、もっと前に。先にお前の方から言い出したのにな」 「はい?」 「初めにお前が俺を<勇者様>だと、そう呼んだ」 「…………」 「十六歳で初めて武者修行に挑んだとき。俺はあの村に辿り着いたんだ」  十三年前のあの日、村では結婚式が開かれていた。 「真っ白なベールを風にはためかせる花嫁と、その花婿が、井戸のある広場で村人から祝福されていた」

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