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 解かれたリボン。 「隙あらば花の蜜なんか吸っているせいか」  ディナイの真下で軽い眩暈を覚えていたステュは、さも重たげに瞼の開閉を繰り返す。  いつになく低めの、少し掠れた声が鼓膜に注ぎ込まれて、もっと熱くなった。 「お前、甘いな、ステュ」  自分よりも、もっともっと熱い、二十九歳のディナイの昂ぶりが。  香油を塗り込んで念入りに解された後孔を貫いていた。  おっかなくて直視できずにいるが、余りの猛りっぷりにステュは半ば怯えていた。絵本をくれた相手が十六歳のディナイだったという、まさかの感動も吹っ飛んだ。お尻が壊れるのではないかという凄まじさに、言い知れないゾクゾクが止まらなくなった。 「ゆ、勇者様の勇者様、すごいんですけど……今、俺のお尻どうなってる……? ちゃんと元の形、保ってる……?」  本気で心配して尋ねれば耳元で笑われた。微かな振動が耳たぶに伝わってきて、より一層、ステュはゾクゾクする。ムズムズ、ジンジン、特に繋がっているところが悩ましげに疼いた。 「あぅぅ……」 「言っておくけどな、ステュ。まだ全部()れていない」 「うっ……そでしょ、嘘だよね、それって勇者様ジョークだよね……?」 「ほら……な」  自分とディナイの繋ぎ目に手を導かれる。生々しい感触にステュはヒュッと息を詰まらせた。 「も、むりぃ……これ以上、挿入禁止……内臓ずれちゃぅ……」 「……」 「こ、こらぁっ……もぉ来ちゃ駄目だってば……ぁ、っ、ぁ、ぁ、ぁ……」 「……お前の体、どこまでも甘い」  入り口から奥まで締まるナカの居心地にディナイは深いため息をつく。獣性をちらつかせる雄々しい吐息に、ステュの疼きは否応なしに加速した。 (今、みんなの勇者様を独り占めしてる。俺だけの勇者様にしちゃってる……)  痛みが麻痺していく。  代わりに病みつきになりそうな興奮が爪の先まで押し寄せてきた。 「……勇者様ぁ……」  左右に両足を開かされ、不慣れなポーズを強いられる恥ずかしさも忘れて、ステュはディナイを見つめた。 「俺、(あち)ぃ……」  顔を撫でていた彼の手に頬擦りし、鼻先までくっつけて、深呼吸する。 「こんな熱ぃの……初めて……」 「俺もだ」  なんだかんだで、途中で止まって、ステュに全挿入しないでいたディナイはゆっくりと動き出す。  ステュの仮膣を緩やかに突き始めた。 「あん……っ……へ、変な声、出ちゃ……っ」 「もっと聞かせろ」 「ぁっ……んっ……んっ……勇者様ぁ……もっと、ゆっくり……」  半身を起こしたディナイに見下ろされる。寝台に仰臥したステュは、汗ばむお腹をぎこちなくなぞった。 「……俺のお腹、変なの……」  ディナイは……歯を食い縛った。  美女にも魔物相手にも冷静沈着に対応していた男が、余裕を失って葛藤を滲ませる姿に、ステュの心臓は蕩けそうになった。 「……変、か……」  眉間に刻まれていた苦悩の縦皺を一つ減らし、ディナイは、ステュの両膝を掴み直す。  一思いに貫きたい衝動を抑え込むように、長く息をつき、あくまで緩々と動く。  香油でぬるつく内壁を脈打つペニスでじっくり擦り上げた。 「あんっ……変なんだってばぁ……っ」 「ステュ、それはな……イイってことだ」  ステュのナカで硬さを増し、窮屈な後孔奥を押し拡げようとしてくるディナイの剛直。  指で念入りに小突かれたところを、くっきりと浮き出たカリ首で刺激されて、ステュは弓なりに背中を反らした。 「ふぁ……ン」 「イイんだろ……?」 「っ……ムズムズ、ジンジンする……お腹の奥、くすぐったい……勇者様ぁ、これって……イイの……?」 「そうだ」  ディナイは再びステュに覆い被さった。 「名前で呼べ」  縋り甲斐のある、しなやかな筋肉質の上半身にステュは思いきりしがみつく。 「今夜から恋人になったんだ。ずっと、お前だけのもの。どこまでも手懐けられてやる」 (ずっと俺だけのもの)  そんな幸せ、他にあるだろうか? 「ディナイに……恋人扱いされたい、いっぱい」  ステュはディナイに甘えた。  背中に爪を立て、厚い腰に自らも足を絡ませて、かけがえのない熱を分かち合った。 「お前と巡り会えて俺は幸せだ、ステュ」 「っ……俺の台詞……とるなぁ……っ……っ」  熱くて、熱くて、熱くて。  ディナイとどこまでも一つになりたくて、ステュは、浅い呼吸と共に律動する彼に魂ごと溺れた。

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