14 / 47

第14話 十月某日【俺だけのメイドさん】鴫野

 片付けが終わった時間に、先輩からメッセージが届いた。 『終わった。迎えに来い』  時刻は午後五時。続々と生徒が帰っていくなか、先輩のクラスの前まで迎えにきた。 「お、おつかれ」  先輩はもう教室の前にいて、俺に気がつくとこちらに歩いてきた。 「おつかれ様です」  先輩は心なしか機嫌が良さそうだった。そういえば、デート券のことを忘れていた。慌てて財布から出して見せる。 「先輩、これ」 「お前……」  デート券と俺の顔を交互に見た。 「拾ったんですけど、もったいなくて」  先輩は俺の手から期限切れのデート券を取り上げると、破って近くにあったゴミ箱に捨てた。 「ご褒美、何がいい」 「は」 「助かった」  ぽそりと先輩が言う。照れてるときの声だ。 「あれ、クラスのやつが勝手に作ったやつ。出回る前にお前が拾ってくれてよかった」  ちらりと俺を見た。 「ご褒美、考えとけよ。デートでも、なんでもしてやるよ」 「メイド、やってください」  即答だった。食い気味に答えてしまって引かれてそうだけど、こんなの、このチャンスを逃したら絶対見られない。俺は必死だった。 「は?」 「俺のために、メイドやってください」  大事なんで何回でも言います。 「はは、いいよ、変態」  きょとんとしていた先輩は、俺を誘うみたいな不敵な笑みを浮かべた。  もう、ほんと、すき。  部屋に着くなり、先輩は着替えを始めて、あっという間に安っぽいメイド服に着替えを終えた。もちろんカチューシャ付きだ。俺はというと、ベッドに座って先輩の生着替えを眺めていた。 「鴫野、これ、洗濯するから、汚していいぞ」  スカートの裾を摘んで、先輩が不敵に笑う。  それがどういう意味かわからない訳がなくて、俺は思わず生唾を飲んだ。  先輩はそんな俺の膝の上に跨る。スカートだから、太腿の上に、先輩の引き締まった尻が乗っているのがわかる。  いい匂いがする。俺のちんこはもう、臨戦体勢でガチガチだった。  柔らかくて薄っぺらい生地のせいで、先輩の乳首の場所までわかってしまう。この距離で見えるの、ほんとやばい。 「先輩、こんなエロい格好で接客してたんすか」  そっと乳首を撫でると、指先に弾力のある肉粒が触れる。同時に先輩の肩が揺れた。可愛らしい乳首は、布越しでも熱く震えているのがわかる。 「絆創膏貼ってたんだよ」  責められていると思ったのか、先輩は俯いて唇を尖らせた。 「は、なにそれ。エロ……」  乳首に絆創膏とか、現実にやる人が目の前にいたことに感動した。先輩、自分がエロい自覚あります? ほんと困ります。 「っ、あんま、触んな」  押し潰して摘んでを繰り返していると先輩が震える声で言うけど、説得力がない。 「こんな勃ってるの、普通触るでしょ」 「……お前が相手だからだろ、バカ」  先輩は吐き捨てるように言った。 「あんた、どんだけ煽ったら気が済むんすか」 「お前が変態なだけだろ」  先輩は悪態をつく。まあそうなんすけど。  でも、俺のせいで乳首勃ってますって言われて、平常心でいられるやつなんている? 俺は知らない。  ふと下を見ればヒラヒラしたスカートがうっすら持ち上がっている。サテンぽい生地をめくると、ボクサーパンツが押し上げられて、先端の辺りの色が暗くなっている。 「先輩、準備、しましょうか」 「いい、してある、から」 「は」 「ケツ、準備してあるから、はやく」  耳を疑った。先輩、片付けしてたんすよね?  いや、家でしてきたのかもしれない。早起きして。それか昨日の夜。いずれにせよ、今日先輩はやる気でいた、ということになる。まじか。 「いつしたんすか」 「後片付けサボって、部室棟の、シャワールームで」  ついさっきだ。しかも、サボって。 「は、あんた、ほんと、そういうとこ」  もう限界だった。この人、かわいすぎ。

ともだちにシェアしよう!