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第15話 十月某日【ピロートーク】鴫野
「好き。先輩。好き」
先輩をベッドに押し付ける。少し雑になってしまって申し訳ないと思いながらも、止められない。
縫製の雑な薄い布が引っ張られて、張り詰めた胸の部分に先輩の乳首が浮く。布越しに舐めて吸うと、先輩は声を震わせた。
「っう、しぎ、の」
黒だから透けないけど、乳首があるのは丸わかりだった。唾液で濡れた安っぽい生地が妖しい艶を放ち、いやらしさを助長している。
顔を逸らしている先輩は耳まで真っ赤だった。
かわいい。
ずっと乳首を舐めて吸ってを繰り返していると、思い切り肩を叩かれた。
やりすぎたかと思って先輩の顔を見ると、顔は真っ赤で、目は潤んでいる。
「はやく、入れろよ……っ」
唇が震えている。呼吸も荒くて、先輩の指先がテントを張った俺の股間を撫でる。
それだけで、俺のはスラックスの中であからさまに反応した。
「……ッス」
先輩のご要望とあれば、俺はそれに応えるだけだった。制服を脱いで、先輩のボクサーパンツを脱がせる。折角なのでメイド服は着たままにした。
先輩のちんこは天を仰いで震えて、可愛らしい窄まりはひくついて、ローションでてらてらといやらしく光っていた。
ああ、エロい。なんなの。
ゴムをつけてローションを垂らして、手を添えて亀頭を押し付けると、ぷちゅ、と音がした。先輩にはつけない。メイド服に射精するのが見たいから。
そのまま押し込むと、たいした抵抗なく飲み込まれていく。雁首を飲み込んだ先輩の中は熱くて、溶けそうなくらい柔らかい。もういきそうなのを奥歯を噛んでなんとか堪える。
ゆっくり奥へと押し込んでいくと、肉壁越しにこりこりしたものが触れる。
前立腺だ。
亀頭で前立腺を押し込むと、先輩の体が跳ねて中がしがみつくみたいに締まる。それが嬉しくて、先輩のそこを何度も往復させる。弾力のあるしこりを段差で弾くと、先輩の身体は大袈裟に跳ねた。
反応がかわいいからと前立腺ばかり苛めていると睨まれた。
「お前……」
「あ、さーせん、かわいくて」
しこりをいじめるのはそれくらいにして行き当たりの窄まりまで腰を進めると、先輩はうっすらと口を開けて甘ったるい声を漏らした。
「先輩、きもちい?」
先輩の腰をつかんで、ゆっくりと腰を振る。
俺の動きに合わせて、先輩は言葉の体をなさない声で甘く啼く。とろんとした目で俺を見上げて、時々ふらりと笑う。
胸がざわつく。このままガツガツ突き上げたいのをなんとか堪えて、できるだけ優しく中を掻き回す。
奥の窄まりに亀頭が当たる。いつかここをこじ開けたい。まだ全部収まってないから、きっと入ってしまう。
そんなことを考えながら、先輩の腰を掴んで腰を振る。とんとんと優しく奥を小突くと、奥は物欲しそうに吸い付いてきて、先輩は可愛らしい声を漏らした。
「っあ、しぎ、の」
だらしなく脚を拡げて、深々と俺のを飲み込んで、先輩の中はきゅんきゅんと締まって喜んでいるみたいだった。
スカートは捲れて、俺の突き上げに合わせて先輩のちんこがゆらゆらと揺れる。
「先輩、もう、いっていい?」
「ん」
頷いてみせた先輩の腰を掴み直して、俺のペースで腰を振る。本能に任せたストロークに、ベッドが苦しげに軋む。
力任せに奥を突いて、快感を貪る。突くたびに奥は甘えてきて、もう限界だった。
熱いものが上がってくる感覚に、奥歯を噛み締めた。
「いく、っあ、先輩、いく……」
「んう、おれ、も」
先輩の中で何度も脈打って、熱いものを吐き出す。馬鹿みたいに長い吐精だった。
俺をきつく締め付けて先輩もいった。黒いサテン生地に散った白濁が疎らにシミを作った。
ベッドの軋みは止み、静かになった部屋には二人分の荒い呼吸が響く。
全身に汗が滲んで、心臓は全力疾走の後みたいに煩く喚いていた。
吐精が落ち着いたところで、先輩からちんこを抜く。先輩にはゴムをつけなかったので、メイド服には精液が派手に散っていた。
ティッシュで拭いて、ゴムを片付ける。
スカートはカウパーと精液で濡れてドロドロで、胸の辺りは汗と涎でぴったり張り付いていた。
「脱ぎましょうか」
とろんとした表情の先輩からメイド服を脱がせた。メイド服は破れこそしなかったが、結局ぐちゃぐちゃになって、ベッドの下に落とされた。
先輩の身体は熱かった。脱がせた身体を抱きしめると、あったかくて気持ちよかった。
「先輩、あったかい」
「しぎの」
先輩は嬉しそうに擦り寄ってきた。しがみついてくる先輩がかわいくて、最終的には裸で抱き合うのが気持ちよくて、衣装なんてどうでも良くなってしまった。
文化祭で疲れていたからか、先輩は一回で満足したみたいで、俺は気絶を免れた。
おかげでなんとかピロートークみたいなことができている。横になった俺の腕の中にはくったりとシーツの上に横たわる先輩がいる。
「先輩、あんたの、彼氏じゃだめなんすか」
なんとなく聞いておきたかった。好きとは言ってくれるけど、結局セフレなのか恋人になれたのか曖昧なままだった。
「お前は、いいのかよ」
先輩は目を逸らして唇を尖らせた。心なしか顔が赤い。おれ、ずっと彼氏にしてって言ってるはずなんすけど。
「おれ、絶対別れてやんねーぞ」
「ふ、そんな好きになってくれたんすか」
それならそれで嬉しいんですけど。
「俺は、重いんだよ」
ちゃんと受け止めるから、そんなこと気にしなくていいのに。
「知ってます」
そんなの、百も承知です。
「……いいよ。鴫野。俺の、彼氏になって」
寝そべったまま、そっぽを向いたまま、先輩は言った。見えたのは、赤く染まった耳だけだった。
「よろしくお願いします」
嬉しくて抱きしめる腕に力を込めると、先輩は笑った気配がした。
「……なあ、来月、俺、推薦入試あるから、しばらくあんま会えねーと思う」
そうだよな、と思う。三年だし。てか、推薦て、先輩めちゃくちゃ頭いい?
「わかりました」
「終わるまで、いい子で待ってろよ」
この人にいい子って言われるの、なんか堪んないんだよな。
「はい」
待ちますとも。あんたの、彼氏ですから。
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