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第23話 十二月某日【続きは部屋で】鴫野

 脈打って、何度も吐き出される熱い精液を、先輩は喉奥で受け止める。  心臓が爆発しそうだ。 「ッ、ン」  小さな声がして、先輩が口を離した。はぁ、と息を吐く控えめな音が聞こえた。  先輩が綺麗な手の甲で口を拭う。 「おい」  先輩の低い囁きに我に帰る。  先輩は俺のちんこをスラックスの中に丁寧にしまっていた。  静かにジッパーを上げると。 「いくぞ」  立ち上がった先輩に腕を引かれて、俺は棚の陰から席に戻った。 「どうしたんすか」  先輩は答えないまま、荷物を持って図書館の出口に向かってしまった。  俺は慌てて先輩の背中を追う。 「先輩」  図書館を出たところで呼ぶと、先輩はようやく足を止めた。 「おれ、なんかしましたか」 「……勃った」  ぼそりと言った先輩は俯いていた。表情は見えなかったけど赤く染まった耳が見えて、俺は思わず頬を緩めた。先輩も、あれで興奮してくれてたんだと、嬉しくなる。 「うち、行きます?」 「行く……」  先輩が甘さを滲ませた声で言うから、俺は咄嗟に先輩の手を取って歩き出した。行き先はもちろん、俺の部屋。こんなかわいい先輩をこんなところに置いておくわけにはいかない。  部屋に着くなり、先輩は抱きついてきた。  先輩の硬く熱くなったものが、太腿の辺りに触れる。先輩が、興奮してる。 「先輩」 「鴫野、抜いて。ゴム、するから」  先輩は、切羽詰まった声を上げた。その声すら甘くて、俺は眩暈を禁じ得ない。 「ちょ、先輩」 「嫌、かよ」 「そうじゃなくて、どうしたんすか」 「自分でするより、お前にされたほうが気持ちいいからに決まってるだろ」  ああ、そういうこと。 「先輩、あそこで、あいつと、あんなことしたんすか」 「あいつとは、キスしかしてねーよ」 「は」 「上書きなんだから、そらくらいしねーと、だろ」  先輩は悪戯ぽく笑ってみせる。 「っとに、あんた、そういうとこ」  なんでそんなに、俺のこと煽るの。理性がぐらつく。獣みたいに、先輩を無茶苦茶に抱きたくなるから、やめてほしい。  そんな先輩をなんとかベッドに連れて行って、一緒に倒れ込むようにして抱き合う。スプリングが苦しげに鳴った。 「先輩、好きです」 「知ってる」 「今日、抜くだけにしときます?」 「ん。フェラだけで終わりにするつもりでいたから、なんもしてねー」 「了解です」  フェラはする気でいたんすね。準備するにも先輩の負担であることは間違い無いので、今日はリクエスト通り、しっかり抜いてあげようと思う。 「すきだよ、しぎの」  甘えるように囁く先輩からのキスを受け止めながら、先輩のベルトを外していく。 「ん、う」  スラックスの前を開いて下着をずり下げて先輩のちんこを取り出すと、甘い声がした。すっかり上を向いて、先端と下着を湿らせている。  ゴムをつけてローションを垂らして、優しく握り込んで上下に擦っていく。熱くて硬い先輩のは、俺の手の中で喜ぶみたいに震えた。 「あ、う、しぎ、の」  先輩は俺の手の動きに合わせてぎこちなく腰を揺らす。 「な、も、いく、から」  許しを乞うような、甘えるような、上目遣いで俺を見上げる先輩。  少し強く握って手を動かすと、手の中でぴくぴくと跳ねた。 「っあ、いく、しぎ、の、いく」 「いって、先輩」 「っ、ふ、ぁ」  先輩はいやらしく腰を揺らす。天を仰ぐ肉茎が脈打って白濁を吐き出して、ゴムの中に白濁が溜まっていく。俺はそれを固唾を飲んで見守る。  ぶるりと先輩が身体を震わせた。 「しぎの」  先輩が甘やかにため息をつく。 「いっぱい出せました?」 「ん」  脱力した先輩をしっかり抱きしめて、額にキスをする。唇を離した後、先輩は嬉しそうに瞳を濡らしていた。  一回上書きするたびにこの調子だと、全部上書きするのはもう少し時間がかかりそうだ。  でも、こんなかわいい先輩が見られるなら、悪くないと思った。

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