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第26話 十二月某日【性の六時間】鴫野

 ゴムをつけて、ローションを垂らして。 「っ、しぎの」  天を仰いで震える性器の少し下、陰でひくつくかわいらしい窄まりに丸く張った亀頭を押し付ける。  ローションを足しながら押し込むと、ゆっくりと飲み込まれていく。  皺を目一杯広げて雁首を飲み込んで、先輩が息を詰めた。その後もゆっくり、行き当たりまで埋めていく。  先輩の中は熱くて、緩やかにうねって、俺を歓迎してくれているみたいだった。 「先輩、名前、呼んで」 「みき、たか」  先輩の柔らかい唇が震えて、俺を呼ぶ。名前、覚えててくれたんだと嬉しくなる。いつも鴫野って呼ぶから、名前なんて忘れてると思ってた。  嬉しすぎて、名前を呼ばれただけでちんこが反応して、先輩の中でぴくりと跳ねた。 「っは、すげ」  思わず笑ってしまった。 「でかく、すんな」  先輩が顔を赤くして、眉を寄せた。 「不可抗力っすよ、こんなの」  好きな人に名前呼ばれたら興奮するの、仕方ないじゃないすか。この前まで童貞だったんだから。 「先輩、ここ、痛くない?」  優しく、そっと、これから侵略する肉襞を張り詰めた先端で撫でる。 「んぅ、いたく、ね、から」  先輩はか細く喘ぎながら、続けた。 「なまえ、よべよ」  先輩も名前呼ばれたいんだと思ったらかわいくて仕方なかった。 「こう、たろ」 「っ」  先輩が反応した。前半で、中がぎゅっと締まる。こうって呼び方、好きなの? 「先輩、こう、って、呼ばれるの、好き?」 「っあ」  眉を八の字にして、先輩の表情が甘く溶けた。わかりやすくてありがたい。中も、喜ぶみたいに締め付けてくる。 「好きですよね、中、めちゃくちゃ締まるもん」  嬉しい。先輩が俺で気持ちよくなっているのが、嬉しい。名前を呼ぶと素直に反応する身体がかわいい。もう全部かわいい。 「っあ、ばか、調子乗んな」  蕩けた顔を覗き込もうとすると、先輩は両腕で顔を隠してしまった。 「調子に乗りたくもなりますよ。あんたと、セックスしてんのに」  困ったな。腕、退けてほしいのに。  腕の向こうにあるのは、赤く染まった照れ顔のはずだ。 「こう」  身体を屈めて、耳に口を近付けて呼ぶと。 「……ッ!」  先輩が身体を震わせて、腕の隙間から俺を睨む。思ったよりいい反応で、嬉しくなる。  泣きそうな顔で睨まれてもぜんぜん怖くなくて、逆に興奮する。 「こう、ここ、開けて」  奥の柔らかい肉襞を優しく突くと、甘えるみたいに吸い付いてくる。とんとんと優しく叩いてあげると震えて吸い付いてくるの、この人はわかってるんだろうか。 「はは、ここ、やば」  ひくひくと震えてしゃぶりつくみたいなそこを捏ね回す。  熱い襞が誘うように戦慄いて、俺は誘われるままにごちゅっと音がするくらい強く突き入れると、亀頭がつるりと飲み込まれた。  先輩の、一番奥。  まだ誰も入ったことのないそこに、初めて、俺が到達した。 「っ、ぅ……ン、ぁ!」  先輩が身体を仰け反らせてピクピクと震える。足先までぴんと伸ばして、浅い呼吸を繰り返す。  潜り込んだ奥は甘えるみたいにしゃぶりついてくる。先輩の中は熱烈に俺を歓迎してくれた。 「っは、入っ、た」  見えないから確認のしようはないけど、今までとは比べ物にならない気持ちよさだった。しがみついてくる先輩の一番奥は熱くて柔らかくて、こっちが溶けそうだった。 「こう、の、いちばん、おく」  俺の言葉なんて聞こえていないのか、先輩は時々喉をヒュッと鳴らす。 「あ、ぇ……、い、てぅ、……かぁ」  顔を隠していた両腕は緩んで、蕩けた顔を隠しきれていない。  もう呂律も回らないみたいで、蕩けた顔でぽろぽろと涙を零す先輩は可愛かった。  そっと腕を退けて、顔を隠せないように頭の横で手を握る。指を絡めてしっかり握って、シーツに押し付ける。 「こう、かわいい」  赤くなった目元が、涙で濡れている。色素の薄い瞳は濡れてきらめいて、まつ毛は濡れて疎らに束になって、いつもは気の強そうな眉毛も力なく八の字になって。もう、先輩の表情は甘く蕩けて睨むどころじゃなくなっていた。  うっすら開いた唇が震えて、過熱した吐息を吐く。 「ぃ、ぁ……」  か細い声は、もう言葉の体をなしていない。それでも唇を震わせて何か訴えようとする先輩が愛おしい。かわいい。  媚びるみたいに吸い付いてくる先輩の奥。甘えるように絡みつく粘膜。全部愛おしくて、先輩に心臓を掴まれてるみたいだった。

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