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第33話 一月某日【先輩の匂い】鴫野
体を拭いて、下着だけ履いて部屋に向かう。
初めて入る先輩の部屋は、モノトーンが基調の、シンプルで今風のおしゃれな部屋だった。
整理整頓されたデスクに、ノートパソコンが置いてある。
当たり前だけど、先輩の匂いがする。
「鴫野」
ぼんやりと部屋を見回す俺を呼ぶ先輩の声がして、声のした方を見れば、先輩はベッドに座って手招きしていた。
年明け二日目。まだ外は明るいのに、カーテンを閉ざした部屋は甘く爛れた空気が漂い始めていた。
先輩のいい匂いがずっとしている。俺の心臓はバカになったみたいに煩く鳴っていた。
誘われるままに先輩の前に膝立ちになる。
「はは、お前、なんでもうガチガチなんだよ」
「無理っすよ、こんな、ずっと先輩の匂いしてるのに」
「変態」
下着の上から、すでに臨戦体勢の俺のちんこを揶揄うみたいに指先で撫でて、先輩は目を細めて口角を持ち上げた。
「そうですよ。ずっと、あんたの匂い、いっぱい吸いたかった」
先輩を抱きしめる。先輩のいい匂いが濃くなって、くらくらする。
「先輩、いい匂い、する」
「お前も、同じ匂いしてる。俺と同じ匂い、だな」
風呂上がりの先輩とおれは同じ匂いだった。それがまた嬉しくて、先輩の首筋に鼻先を押し付けた。
「せんぱい」
「こうって呼べよ、みきたか」
「あんたほんと、反則ですよ」
そうは言うけど、名前を呼べるのは先輩の心の少し深いところまで入れた気がして嬉しい。
「こう」
「ん、すき、みきたか」
「もう、あんま、煽んないで」
髪を下ろして、髭も剃っていないからか、先輩はめちゃくちゃ甘えてくる。そんなにされたら、ほんと、また理性を吹っ飛ばしかねない。もう俺のはすっかり昂って下着の中で堪え性なくしゃくりあげていた。
「一回、抜かせて」
押し倒してなお俺のちんこに手を添えたままの先輩。下着の前だけずり下げて、先輩の手に擦り付けるように腰を振る。ベッドの上、身体を揺らす度に先輩の匂いがして、どうにかなりそうだ。
腰を振るたび、スプリングの軋む音がする。なんかもう、入れてないのに、セックスしてるみたいだった。
先走りは際限無く溢れて、先輩の手を汚している。
見下ろした先輩は楽しげな表情で俺の動きに合わせて、手を動かしている。
「出せよ」
「っ、ゴム、して、ない」
「いいから」
「っ……!」
先輩の手の中で跳ねて、脈打って、熱い白濁が先輩の腹から胸にかけて散った。
先輩は俺のを握って絞り出すみたいに根元から先端に動かす。
精液が、とろとろと溢れる。
全力疾走の後みたいに、息が荒い。
「おー、出たな」
先輩は俺のザーメン塗れの手を嬉しそうに見て、べろりと舐めた。
「みきたか、溜めてた?」
「ん、溜めて、ました。出すなら、あんたとしたくて」
「ふ、ばーか」
嬉しそうに笑う先輩。笑みの形の唇を奪う。俺のザーメン舐めた後だけど、そんなのどうでもよかった。深く合わせて、舌を絡める。しょっぱいような、生臭いような、青臭いような、そんな味の先輩の粘膜を味わう。
全部、舐めたい。先輩の全部を味わいたい。そんな欲が、腹の底から湧いてきて、俺は恥ずかしげもなく喉を鳴らした。
髭が、ざらりと先輩の肌を擦ると、先輩は嬉しそうに笑う。
「ふ、くすぐってぇ」
「跡、付けていいすか」
「ん、いいよ」
先輩の声が甘く蕩けた。その声に、俺は弱い。
じゅ、と音を立てて先輩の鎖骨の辺りに吸い付いた。
けど、跡は付いていない
「もっと強く吸わないと、つかねーよ」
「っ」
先輩が、おもむろに二の腕に吸い付いた。痛いくらいにきつく吸われて、唇が離れる。
「これくらい」
先輩の吸い付いたところに、お手本の赤い鬱血の跡が残っていた。
俺はもう一度、鎖骨の辺りを強めに吸った。先輩が息を詰めたのがわかった。
「ついた……」
初めてつけたキスマークは、先輩の白い肌に赤くはっきりと刻まれていた。
「気ぃ済んだか?」
「はい」
「続き、しろよ」
「っす」
先輩の身体を舐めて、キスして、撫でていく。と、先輩の声が上擦る。
「っみき、たか」
白い胸の上、可愛らしい色の肉粒が震えている。優しく唇で撫でて、舌先でくすぐって、優しく吸い上げる。
「っう」
先輩の唇から甘い声が漏れる。舌先に触れる肉粒が硬くなった。吸って、舐めて、舌先で転がすと、先輩はその度に身体を揺らした。
「こう、ちくび、気持ちいい?」
「ん」
涎でてらてらと光る愛らしい肉粒を指先で優しく撫でる。
「っ、ふ」
何が出るでもない小さな肉粒を優しく吸って、左右平等に可愛がって。唇を這わせながら、臍までおりて、臍の脇にも跡をつける。
その下、下着を窮屈そうに押し上げているそれに気付く。ウェストのゴムに指を引っ掛けてずり下げると、薄めの茂みからは、頭を擡げた先輩のちんこが聳り立っていた。
挨拶がわりに先端にキスを落として、そっと舌を這わせる。ガチガチで、先輩も興奮しているのかと思うと嬉しかった。
そのまま口に含むことに、なんの躊躇いもなかった。口の中で揉むようにして、舌で幹を擦る。しょっぱいような味の先走りが溢れてきて、それを啜る。
先輩の味だ。先輩の匂いに包まれて、先輩の味をいっぱい堪能して、年明けからこんなにさせてもらっていいんだろうか。
「みきたか、気持ちいい」
先輩の手がくしゃりと髪を掻き回す。
「なあ、も、いきそ」
甘えた声を上げる先輩。舌の上でぴくぴくと跳ねて、限界が近そうだった。
「いいっすよ。いって、こう」
一旦口を離して、もう一度深々と咥え込む。
「っう、ぁ、っい」
口の中に、熱い、とろりとしたものが放たれる。
舌の上で脈打って、何度も放たれる先輩の熱いザーメンを、舌の上で受け止めて、飲み込む。青臭くて生臭くて少ししょっぱいような苦いようなそれが、嫌ではなかった。
吐精を終えた先輩は息を弾ませ、白くて綺麗な肢体を投げ出して、くったりとシーツに横たわっている。
「も、いれろよ」
淫靡な笑みに誘われるまま、俺と先輩の下着を取っ払う。ゴムをつけてローションを垂らして、力なく投げ出された足を持ち上げて入れやすい体勢をつくる。
痛いくらいに張り詰めた先端を、ひくついてローションを滲ませている窄まりに押し当てる。
少し圧力をかけると、簡単に柔らかな肉の中に沈んでいく。
先輩の、中は変わらず気持ちがいい。熱くて、優しくひくついて、俺を歓迎してくれているみたいだった。
肉壁越しに触れたしこりを段差で引っ掻いてあげると、先輩は上擦った声で喘いだ。
「っあ、や、あ、なん、か、くる」
ぶしゅ、と先輩の先端から透明なものが溢れてゴムの中に溜まった。
「っあ、だめ」
「こう、きもちい?」
「ん、気持ちい、けど、へん、ん、っあ」
ぷしゅ、とまた透明なものが溢れた。
とろみのない透明な液体が、ゴムに溜まって重く垂れ下がっている。
「しお、いっぱい出たね」
「ーーッ」
先輩は赤い顔で目を逸らした。
ゴムを変えてあげる。外したゴムの中にはたっぷりと潮が溜まって揺れる。それすらも飲みたいと思ってしまう俺はちょっとやばいかもしれない。少し勿体無い気がしたけど、口を縛ってティッシュでくるんでゴミ箱に捨てる。
先輩の中はずっといってるのか、きつく締まって、柔らかくうねって、堪らない。
まだ奥までしてないのに先輩はもう身体に力が入らないのか、されるがままだった。
奥に進めて行き当たりにこつんと挨拶すると、甘えるみたいに吸い付いてくる。
俺しか知らない、先輩の一番奥は、すごく素直だ。
押し当てると吸い付いて、腰を引くと待てとでも言うみたいに名残惜しげに離れるそこは、俺を楽しませてくれる。
「こう、奥、入らせて」
たん、たんとやさしく突き上げると、奥の窄まりがひくつきながら少しずつ緩むのがわかる。
「っあ、みきたか」
「こう、奥、開いてきた」
リズミカルに奥を叩くと、先輩は甘い声を上げて快感を訴える。
吸い付くそこに一際強く突き入れると。
ぎゅぼ、と奥で濁った音がして、襞を超えて亀頭が一番奥に潜り込んだ。
「っあ、ひ、ぅ」
先輩は喉を晒して、身体を震わせる。脚はびくびくと跳ねて、ぴしゃ、と透明な体液がまたゴムの中に溜まった。
潮吹くの、癖になっちゃったかな。
そう思いながら奥を突くと、また出た。
この体勢だと、ゴム外したら先輩に思い切りかかってしまう。わかっているのに、好奇心という名の欲が頭を擡げ、意識を埋めていく。
ゴムを外して、潮を浴びてびしゃびしゃになる先輩が見たい。
怒られるかも。いや、絶対怒られる。
わかっているのに、止められなかった。
「こう、ゴム、取るね」
「ん、え」
少しトんでるのか、先輩から返ってきたのは曖昧な返事だった。
つるりと外れたゴムの口を縛ってシーツに放って、奥を突くと。
思っていた通り、ぷしゅ、と透明な体液が散って、先輩の胸から顔にかかった。
あぁ、最高にかわいい。けどこれ、後でめちゃくちゃ怒られるやつ。
「あ、……ぇ」
何が起きたかわかっていないのか、先輩は呆けた顔で俺を見上げる。
「こう、かわいい」
「や、ぁ、みき、たか、ぁ」
きゅんきゅんと甘く収斂して締め上げる熱くて柔らかな粘膜が気持ちよくて、中でまた元気になってしまった。
体重をかけて一番奥をつくと、先輩は泣きそうな声を上げた。
「も、でな、ぁ」
先輩の言葉通り、先輩の性器何ふるりと震えた。中が一際きつく締まって、俺は先輩の中で果てた。どくどくと脈打って、一番奥に熱い白濁を打ちつけた。
先輩の中はずっときゅんきゅんと震えて、一滴残らず搾り取られるみたいだった。
吐精が落ち着いて、潮で濡れた先輩の顔を、胸を舐める。甘いようなしょっぱいような味がした。匂いはない。
「んあ、みきたか?」
「ふふ、こう、トんでた?」
「ん、お前、いった?」
「はい」
「めちゃくちゃよかった」
先輩は両腕を伸ばして俺の首にしがみつく。そう言ってもらえて良かった。
怒られるかもって思ったけど、ひとまずは大丈夫そうで、俺は先輩の背中に腕を回した。
「みきたか、お前、潮吹かせるの好きなの?」
「っ、え」
やばい。ばれてる。そう思ったけど、先輩はしっかりと俺を捕まえていて離してくれそうになかった。
「へんたい」
耳元で甘く低く囁かれて、背筋をぞくぞくと甘いものが駆け上がった。
「最初から言えよ、バカ」
耳元に響く先輩の少し掠れた声が堪らなくて、安堵するのと同時に、また腹の底から甘いものが這い上がってくる。
このままだともう一ラウンド確定してしまう。それでもいいかと思いながら先輩の温かな体を抱きしめ返した。
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