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第13話
大荷物を持って帰宅した二人。
琉生はキッチンに行き買ってきた食材を整理する。
「あ、あの、先輩」
「んー?」
佑里斗は気がかりなことがあった。それはもちろんお金のこと。琉生は当たり前のように佑里斗の食事の面倒を見ようと思っているが、当の本人は食費を払う気満々である。
「食費、ちゃんと払うのでどれくらいかかるとか教えてください」
前のめりにそう伝えてくる佑里斗に、琉生は『は?』という顔をした。
お金を稼ぐためのバイトをしすぎて倒れたやつが、何を言ってんだと思って。
「またバイトする気か」
「バイトは……それは、そうです。お金無いから……」
「……それで倒れられる方が迷惑。抑制剤を買う分くらいはあった方がいいだろうけど、俺はお前から何かをもらおうとは思わないよ。」
琉生は手を洗うと早速料理をしようと鍋とまな板、それから包丁を取り出した。
「これはボランティア。困ってる後輩を助けたいと思ったからしてるだけ。気にしなくていい」
「……でも、それじゃあ先輩に負担がかかるじゃないですか」
「かからないよ。料理するのは一人分も二人分も一緒だし」
「……」
納得いかない様子の佑里斗に、琉生は苦笑して「じゃあ、わかった」と手を止める。
「体調が全快して、無理のない範囲でバイトができるようになって、余裕が出てきたらその時に払ってもらうよ。」
「! わかりました。頑張ります!」
佑里斗はようやく安心したように微笑むと、琉生の傍に寄って手元を覗く。
「俺がお野菜切ってもいいですか?」
「いいけど、料理できんの?」
「あ、ひどいですよ! 一人暮らししてたの知ってるくせに」
「ああ、そうだった。……怪我すんなよ」
琉生は場所を代わると、鍋に水を入れてキムチ鍋の素を入れた。
「これ全部切りますか?」
「うん。野菜多い方が好きだから」
「……こんなに食べれる?」
「食べれるよ。残ったら明日も食べるし」
もやしの袋を開けて、ざっと洗うと鍋に放り込む。そんな琉生の姿を見てから佑里斗は野菜をサクサク切っていく。
切った野菜は琉生が用意したお鍋に放り込む。
「お腹空いてきちゃった」
「俺も。まあでもすぐ出来るから我慢な」
「はい」
二人小さくお腹を鳴らしながらお鍋ができるのを待った。
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