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第17話

 午前の講義を終えた佑里斗は、琉生に連絡を入れようとスマホを取りだした。 「なあ一緒に飯行かね?」 「え、」  電話をしようとしてすぐ、智にそう声を掛けられて咄嗟にスマホを隠す。 「あの、ごめん。今日先約があって」 「そっか。じゃあいいや。気にしないで」  智はそう言って別の人を誘いに佑里斗の元を離れて行く。  なんとなく申し訳なさを感じながら、スマホの画面をタップして琉生に電話をかける。 「──講義終わった?」 「あ、うん。はい」  電話に出てくれた彼と待ち合わせをして、荷物を持ち講義室を出た。  正直、目立つ彼と学内でご飯を食べるのは避けたい。  どうして仲良くなったのかと聞かれてしまうと、返答に困ってしまう。  なので待ち合わせ場所で合流した琉生に思い切って提案をすることにした。 「先輩」 「ん? 何? 体辛い?」 「あ……いや、そうじゃなくて」 「そうか。朝よりかは顔色マシだし……。よかったらさ、外に食べに行かない?」  思っていなかった彼からの提案に佑里斗は嬉しくてウンと一つ頷く。 「実は俺も外で食べたいなって思ってて」 「ならちょうどよかったな。荷物は? 重くない?」 「大丈夫です」  体調不良の佑里斗を気遣って荷物を持とうとした琉生だが、『大丈夫』と言われてしまうと何も出来なくて、ひとまずお腹が空いたので目的地のカフェに向かい足を動かした。 □  二人がやってきたのは洋風レトロなお店。  たまに琉生が一人で訪れる場所である。 「ここね、オムライスめっちゃ美味いよ」 「じゃあそれにします」 「でも俺はハンバーグも好き」 「え……迷うじゃん……」  メニュー表を見る佑里斗の眉間に皺が寄る。  琉生は静かにクツクツ笑いながら、運ばれてきた水を一口飲んだ。 「どうしよう……」 「どっちも食べたら?」 「そうしたいけど、胃袋の容量が足りないです……」  あとはお金も。  気を遣われたくなかったので佑里斗はぐっと我慢して、値段の安かった方のオムライスを注文する事にした。  琉生はハンバーグを頼んで、そこから二人はたわいもない話をする。 「実は俺、友達がいるんですけど」 「……そんな会話の始まり方ある? 俺、別にお前に友達いないとは思ってないよ」 「あ、でも多分オメガってバレてないからなんです。バレたらきっと友達は一人もいなくなる」 「そんなの友達とは言わないだろ」  思わずムッとしてしまった琉生は、困惑している佑里斗に向かい慌てて「それで?」と柔らかく問いかけた。

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