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第18話

「実はさっきその子に一緒にご飯食べよって誘われたんですよ」 「あ、そうなの」  琉生は目をぱちぱちさせ、続きを促すように小首を傾げた。 「別に先輩が嫌だとかそういう話じゃなくて、今日も『体調悪い?』って心配してくれたから、断るのに緊張して……。嫌がられてないかちょっと不安」 「……先約あるから無理って言っただけで嫌われるわけないだろ」  琉生は少し呆れたように言った。  まさかこの歳になってそれだけのことで嫌う奴はいないだろうと思って。 「わ、わかんないです。オメガだから、友達いたこと、なくて……」 「……気にしなくて大丈夫だからさ、次はお前から誘ってみな」  オメガ性の人間の生き方をアルファである琉生が知るはずがない。  なので『友達がいたことがない』ということが正直、琉生には信じられなかった。  しかもそれは『オメガだから』という理由で片付けられるらしく、その事実に胸がキュッと締め付けられるように切なくなる。 「……大丈夫かな」 「大丈夫だよ」  不安そうに眉を八の字にする佑里斗に、琉生は安心させるように頷く。 「午後も会うんだろ? その時に明日の約束でもしてみれば」 「うん」 「俺もついてってやろうか」 「それはいいです」  自分に対しては割とハッキリものを言うくせに。  琉生は心の中でそう言って、でもこれはそれなりに信頼してくれているということか……、と目の前にいる後輩が少し可愛く見えた。 「あ、先輩! あれ俺たちのかな」 「そうかもな」 「わぁ……ここから見ても卵がフワフワしてる」  佑里斗の予想していた通りに運ばれてきた料理。彼はそれを見てパァッと表情を明るくさせる。  トロトロふわふわな卵に心が踊って、琉生がハンバーグを食べ始めたのを確認してからオムライスを一口食べた。 「ん! 美味しい〜!」 「だろ」 「うん!」  楽しそうに食事する佑里斗の姿に、琉生は気付けばつられるように口角を上げ微笑んでいた。

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