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第19話

 佑里斗はオムライスを食べながら、時折チラチラと琉生を見た。  相変わらず綺麗な顔をしている彼は、ナイフとフォークを使って一口サイズにハンバーグを切っている。 「食べる?」 「え、」 「食べたそうにしてた。ほら、口開けて」  目の前に差し出されたハンバーグ。  佑里斗はゴクッと唾を飲むと口を開けてそれを口に入れた。 「ん! 美味し!」  大きな目が見開かれキラキラと光る。  感激している様子に琉生は楽しくなって、ハンバーグの乗るお皿を佑里斗の方に寄せた。 「……半分食べる?」 「え……あ、じゃあ半分こは……? オムライスよかったら食べてください」 「いいの?」 「もちろん! というか半分も貰ったらお腹いっぱいになるから食べてほしいです」  正直にそう言った佑里斗に琉生は小さく笑って頷く。 「じゃあもらう」 「うん」 「あ、そうだ。今日の晩飯どうしよっか」 「お昼ご飯食べてるのにもう夜ご飯の話?」 「だってどうせ一緒に食べるじゃん。それなら今決めた方が帰り買い物に行けていい」  琉生はそう言って食べたいものを頭に浮べる。 「パスタ好き?」 「うん、好き」 「んー、水菜とかレモンとかも?」 「レモン……? それだけを食べたことはないけど……多分、好き?」 「じゃあ、俺の好きなパスタにしていい?」  佑里斗はコクリ頷き、ハンバーグをカプっと口に入れる。 「先輩も食べてね」 「うん。いただきます」  二人はそうして話しながら食事をした。大学から少し離れた場所にあるお店で。  なので、まさかその姿を琉生の同級生が見ていただなんて二人は知らなかった。

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