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第32話
琉生は本当に佑里斗だけでなく、佑里斗の友人である智と、智経由で仲良くなった人達とも気軽に接するようになった。
彼らは皆、琉生は難しい人だと思っていたので、分からない事を丁寧に教えてくれる姿を『まじイケメン』と言い賞賛している。
「おお、なるほど。だからこうなるのか……」
「そう。これが解けたらこっちの問題は簡単」
佑里斗と智はその日、わからない問題があって空きコマに食堂で教科書とノートを広げていた。
そこにフラっと現れたのが琉生だ。
琉生の姿が見えた途端、智が慌てて彼を呼び「教えてー!」と助けを求めた。
琉生はキョトンとしつつも、佑里斗も居たので二人の傍に行き、指がさされている教科書に目をやった。
静かに文章を読んだ彼はをじっと見ていた二人は、突然始まった解説に慌ててメモをとる。
それがとてもわかりやすくて、二人ともすぐに理解をして次々と問題を解いていたのだが。
「そういえば先輩は何でここにいたの? 今は空きコマ?」
「いや、抜けてきた。喉乾いて」
「え、大丈夫なんですかそれ」
「いい。松井に任せてる」
佑里斗は『松井って誰。任せてるっていいのかそれ』という言葉を飲み込み「そうなんだ……」と手元に視線を落とす。
教えて貰っている手前、強く言えなかったのである。
「あ、先輩ここ教えて」
「どこ」
「これ。わからん」
智と琉生はどこか波長が似ているようで、以前軽く会話をしてから変に遠慮することも無く接するようになった。
佑里斗は先輩にも臆することなくいつも通りの会話をできる智に驚いたし、そんな智を嫌がること無く普通に接している琉生にも若干驚いている。
「あ、ごめん。そろそろ行くわ。呼ばれた」
「はーい。ありがとうございました」
「あざしたー!」
スマホを見た琉生が立ち上がる。
二人は彼にお礼を言って、まだもう少し勉強を続けた。
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