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第39話
琉生のサポートのおかげで、佑里斗は完全復活した。ただひとつ気になるのは琉生の目の下にクマができてしまっていることである。
肌が白くて綺麗な彼の顔に似合わないそれ。原因は自分にあると思って何度か彼に謝ったし、休んでもらうようにも言ったのだが、彼は「そんなことより、お前の調子が戻ったようでよかった」と微笑むばかり。
結局彼のクマが消えることは無いまま、二人は大学に登校した。
佑里斗は自分の勉強のことでいっぱいいっぱいになっていたが、実を言えばそれは琉生も同じである。
むしろ教えてくれる先輩や、仲のいい友人がいるわけでもないので、琉生の方がピンチなのだが、彼はそれを佑里斗の前では一切見せず、少しの間教授の元に通って分からない部分を教えてもらっていた。そして唯一時々話をする松井はほとんど役に立たなかった。
■
久しぶりに大学に行った帰り、佑里斗はずっと面倒を見てくれた琉生に感謝の気持ちを込めてショッピングモールでプレゼントを選んでいた。
寝る間も惜しんで世話を焼いてくれたので、何かお返しをしたくなったのだ。
「んー……」
どんなものが好きなんだろう。
食べ物の方がいいのだろうか。それとも……自分のせいだけれど、眠れていなかったようなので、癒しグッズみたいな方がいいのだろうか。
──先輩に直接聞いた方が間違いない
そう思って琉生に『何か欲しいものないですか?』とメッセージを送った。
すると少しして『ピーマン』と帰ってきて、今日の晩御飯に使うのかなと思い『OK』のスタンプを送る。
──いやそういうことじゃない!
佑里斗はウーンと頭を悩ませ、暫く考えた結果、肌触りのいい部屋着をプレゼントすることにした。
これを着てゆっくり休んでくださいの気持ちを込めて。
店員さんに綺麗に包装してもらい、喜んでくれるかなとソワソワしながら家に向かう。
そして途中でスーパーに寄ってピーマンを買った。
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