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第40話
家に着くと既に琉生は帰っていて、佑里斗は買ってきたピーマンを渡す。
「ありがと」
「いえ」
「お金返すからレシート置いといて」
「あ、いいです。大丈夫」
片手を突き出して首を左右に振る。
いつも良くしてもらってるし。
「……。じゃあさ、ピーマンの肉詰め作るんだけど、食べる?」
「え、いいの……?」
「うん。一緒に食べよ」
そもそも食費を渡してる訳ではない。一緒に食事をすることは多いけれど、基本的には個人プレイなので改めて誘われると嬉しかった。
佑里斗はウンウンと頷いて、急ぎ足で部屋に行き荷物を置く。
買ってきたプレゼントは布団を掛けて隠し、すぐに琉生ののところに行った。
「そういえば先輩。大学ずっと休んで俺のこと看ててくれてたけど、勉強はなんとかなりそう……?」
「大丈夫」
「よかったぁ……。俺は先輩に教えて貰えたから助かったけど、先輩は良かったのかなって思って……ありがとうございました」
「どういたしまして」
琉生は苦笑する。
発情期が終えてから、佑里斗が頻繁にお礼を伝えてくるからだ。
そんな琉生の表情には優しさしかなくて、佑里斗は思わずはキュッと喉を鳴らした。
何故かと言うと、琉生ににときめいてしまったからである。
「あ、悪いんだけど、洗濯物取り込むだけしてもらってもいい?」
「っ、もちろん!」
佑里斗は急いでベランダに行き、乾いた洗濯物を取り込んだ。そして丁寧に畳み、それぞれの場所に持っていく。
「ご飯できた」
「はーい!」
出来たてホカホカの料理が並ぶテーブル。
先輩が作った美味しそうなご飯。
佑里斗は嬉しくて、ニコニコ微笑みながらハキハキした声で「いただきます」と言い手を合わせた。
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