46 / 132

第46話

「俺……先輩の恋人になっていいの……っ?」 「うん。俺の恋人になってほしい」 「……本当?」 「本当」  琉生はそっと佑里斗を引き寄せて、ドキドキしながら抱きしめる。  佑里斗は聞こえてくる彼の鼓動に小さく笑った。自分を抱きしめるだけで、こんなに緊張してくれるんだと思って。 「先輩」 「ん、何」  彼の胸を軽く押し、少し体を離して顔を上げる。 「今日、一緒に寝ませんか?」 「え……」  とてつもなく魅力的な佑里斗の誘い。けれど抱きしめることだけでもこんなに緊張するのに、一緒に寝るなんてできるのかと、琉生は視線を忙しなく動かす。 「ダメ?」 「ぁ……ダメじゃない……」  けれど佑里斗が少し困ったように笑い小首を傾げたので、それに敵うはずがなく、結局一緒に寝ることにして、そのまま佑里斗のベッドに入る。  少し狭いので、二人ピッタリとくっついて。 「先輩の心臓、忙しそうだね」 「……緊張してる」 「うん。俺も結構緊張してるよ」 「……寝れそう?」 「んー……うん」  佑里斗はモゾっと動いて彼の胸に顔を埋める。  琉生は年上の余裕を見せたくはあったけれど、こういう風に人とくっつくのは初めてなので、戸惑いながら恋人になった彼の背中に手を回した。  その手つきが優しくて、佑里斗は『大事にされてるんだな』と感じ、心をホクホクさせる。 「先輩、好きです」 「うん。俺も好き」  そうして二人、話をしている内に気付けば眠りに落ちていて。  朝になり目を覚ました佑里斗は、自分を抱きしめたまま穏やかに眠る彼に小さく口角を上げてキュッと自ら抱きついた。

ともだちにシェアしよう!