49 / 132
第49話
智のおかげで、佑里斗の大学での知り合いも増えた。
時々一緒にご飯を食べることもあるし、グループワークの時も誘ってもらえることも多くて一人になることもない。
けれど佑里斗はこれまであまり多くの人とコミュニケーションをとってこなかったので、上手く会話のキャッチボールができずにタジタジしてしまうこともしばしば。
「高津ってどの辺に住んでんの?」
「あ、●▲■駅の方」
咄嗟に琉生と暮らしている家の最寄りの駅を言えば、友人はピコンと思いついたような反応をした。
「俺もそこ最寄り」
「そうなんだ」
「どっち方面?」
「えっと……」
そうこう話しているうちに、勝手に琉生の家のことを話してよかったのかなと不安になってソワソワしてしまう。
「? どした? トイレ?」
「違う……」
トイレに行きたいんだと思われたのが恥ずかしくて俯く。
そんなときスマホが震えた。周りは新しい話題で盛り上がっていたので、静かに画面を見ると琉生からのメッセージで。
課題で帰りが遅くなりそうだという連絡だった。
ご飯は適当にするから、好きに過ごしといてとのこと。
大変なんだなと思いながら、『わかりました』と返事をする。
「──誰? 彼女?」
「わっ!」
いきなり画面を覗き込まれ、咄嗟にスマホを裏返して隠す。
隣には智がいて、佑里斗はドキドキとうるさい胸を押さえる。
「今の美澄先輩? 帰りが遅くなるってどゆこと?」
「ぁ……」
「え、何?」
「……」
「帰りが遅くなるってわざわざ連絡するって、一緒に暮らしてんの?」
佑里斗ははぐっと唇の内側を噛んだ。
ともだちにシェアしよう!