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第50話

 佑里斗はキョロキョロしてしまい、返事するのが遅れてしまった。  一緒に暮らしているのかを聞かれただけなのだが、性別のことや恋人同士であることがバレたくないという考えが先行してしまい、言い訳を考えるのに時間が必要だった。そしてようやく思いついて口を開ける。 「る、ルームシェアしてて。お金も安く済むから」 「……あー、なるほど?」 「うん。仲良くなってからお世話になってる」 「そっか。まあ先輩面倒見いいもんな」 「そうなんだよ」  よし、誤魔化せた! と智の視線がむこうを向いてから小さく息を吐く。  そんな佑里斗の姿を目敏く見ていた友人がいた事には気が付かなかった。 ■  帰宅してすぐ、家事を済ませた佑里斗は軽く食事をしてからお風呂に入った。  時刻は夜の九時。それでもまだ琉生は帰ってこなくて、佑里斗はテーブルの席に着いてテレビを見ていた。  一人でいると大学でのことを思い出して、アレは焦ったなぁと苦笑する。  まあ何を聞かれてもルームシェアで突き通していたらなんとかなるだろうと余り気にしないことにした。  突っ込まれても体調が悪くて心配してくれたことと、お金が無くて助けてくれていると言い張ればいい。もともとそれが理由だったのであながち嘘でもない。 「ただいまぁ……」 「! おかえりなさい!」  ウンウンと一人で解決していると、やっと琉生が帰ってきた。  疲れきった様子に「元気無い?」と聞けば、彼は薄く微笑んで佑里斗に抱きつく。 「大丈夫」 「あ……ご飯食べたんだよね……?」 「うん。適当に食った。風呂入って寝る」 「わかったよ」  琉生は荷物を部屋に置くと、直ぐに着替えを持ってお風呂場に向かう。  今日はきっとすぐ寝ちゃうだろうから、ゆっくり話はできないだろうな。少し寂しい気もしたけれど、忙しそうな琉生に無理をさせたくはない。  なので佑里斗は一人で静かに過ごそうと、部屋に入ってベッドに寝転んだ。

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