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第78話
昨日話していた通り、休みの日に巣ごもりするために必要な食材を買いにショッピングセンターに寄ることになった。
佑里斗は食材だけのつもりだったのだけれど、琉生が「ついでに買い物してもいい?」と服屋さんを指さしたのでウンとひとつ頷く。
「疲れてるだろうし座ってる?」
「ううん、ついてく」
「……すぐ買ってくるからここにいて」
ちょうどお店の前にあるベンチに座って待ってるように言われ、佑里斗は特に欲しいものもなかったので大人しくそこで待っていた。
ものの数分で戻ってきた彼の手にはショッパーがあって、本当に『すぐ』だったので少し驚いてしまう。
「お待たせ」
「全然待ってないよ。もう買えたの?」
「うん。前から見てたやつだったから」
どうやらずっと買うか買わまいか悩んでいた様子。
どこか嬉しそうな琉生に、佑里斗までホクホクした気持ちになる。
「あとは食材だけ? 佑里斗は欲しいの無い?」
「俺は特に」
「じゃあ適当に好きなの買って帰ろうか」
「うん!」
そのまま地下にある食料品売り場に行き必要な食材を沢山買った。
これで今週はゆっくり過ごせるはず。
買い物を終えて家に着くと、二人は部屋着に着替え、手分けをして家事をする。
そうして落ち着いてから二人で食事を始め、たわいない会話をする。
「明日、何時に出る?」
「明日はいつも通り。琉生はゆっくりでしょ? それなのに俺に付き合ってもらうのは申し訳ないし、やっぱり一人で行くよ」
琉生は少しムッとする。
どこか一歩引いたような佑里斗の言葉が気に食わなかったのだ。
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