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第80話

 その日の夜、眠る前。  ソファーに座りテレビを見ていた佑里斗は、琉生から見覚えのあるショッパーを差し出されて首を傾げていた。 「えっと、これは何……?」 「プレゼント」 「……俺に? 何で?」  隣に座った彼に聞けば、彼は「似合うと思ったから」と言ってズンと佑里斗に押し付けるようにさらに差し出す。 「あ、ありがとう……?」 「うん」  佑里斗が受け取れば満足そうで、その顔が可愛らしかった。  少しキュンとしながら袋の中から物を取り出すと、肌触りのいいTシャツが二枚入っていて目をパシパシさせる。 「これ、二枚とも……?」 「うん。この前大学の空きコマに買い物行ってたんだけど、佑里斗が好きそうだなって気になってたんだよ。今日買えて良かった」  彼がくれたのはシンプルなものだけれど、ワンポイントにロゴが入っていて可愛い。  嬉しくてTシャツを持ったまま彼に抱きつけば、しっかりと抱きとめてくれて背中に手が回される。 「ありがとう」 「うん」 「明日着ていくね」 「嬉しい」  至近距離で目が合って、ちゅっと触れるだけのキスをする。  いつも迷惑をかけているから御礼に何かを贈るべきなのは俺の方なのに、こうしてプレゼントをくれるだなんて嬉しい。 「いつもありがとう」 「んーん。俺の方こそ」  抱きしめあって、何度かキスを繰り返していると突然琉生の手が佑里斗のお尻に触れた。  それは本当にたまたまだったのだが、佑里斗はドキッとして咄嗟にその手を押さえた。 「? 佑里斗?」 「……お尻」 「え? あ、ごめん!」  琉生は若干焦りながら退けようとしたのだけれど、佑里斗が手を離してくれない。  戸惑いながら佑里斗の顔を見れば、彼はチロっと恥ずかしげに琉生と目を合わせた。

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