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第81話

「琉生は、俺とそういうこと、したい……?」 「えっ、」  琉生はその質問に少し驚いて、けれどすぐに素直に小さく頷く。 「でも、佑里斗が嫌なことはしないから、そこは安心して」  佑里斗は琉生が好きだ。  親切で穏やかな人だし、一緒に生活を初めてから今まで一度も何も無かったので、彼の言葉は信用できる。 「……ありがとう」 「……佑里斗はまだそういうのはしたくない?」 「したくないわけじゃ、ないんだけど……」  少しの不安がある。  自分の全てを見せた相手が居なくなってしまう悲しみや不安は未だ拭いきれていない。 「まあ時間はあるし、今は色んな不安があってそれどころじゃないし、俺達のペースでゆっくり進めたら、俺はそれで嬉しいよ」 「……」 「なあ、そんな顔すんなって」  申し訳ない気持ちが顔に出ていたらしい。  琉生は苦笑すると佑里斗の顔を包むように両頬に手を添えて……ムニッと少し頬っぺを摘む。 「んっ! 何するの!」 「さっきの顔よりこっちの方が可愛いよ」 「やめてよー!」  そうしてじゃれ合っている間に、いつも寝る時間がやってきて、二人は仲良く琉生の部屋に行きベッドに寝転がる。  琉生にすり寄った佑里斗は、深呼吸をして体から力を抜いた。 「琉生」 「ん?」  大きな手に頭を撫でられ、段々と眠たくなっていく。  ふわりと欠伸を零せば、それが彼にうつったようで、彼もふわふわ欠伸をしていた。 「好きだよ」 「うん。俺も」 「……えっちなことは、まだ勇気が出ないから、もう少しだけ待ってね」 「はは、うん。佑里斗が『いいよ』って言ってくれるまで、いくらでも待つよ」  小さく笑った彼に抱きしめられる。  背中を優しく撫でられると、一気に眠気がやってきて佑里斗は静かに夢の中へ落ちていった。

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