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第82話

 翌日、まだ眠そうに欠伸をする琉生と一緒に車で登校した佑里斗は、講義室まで彼と一緒に行く。  遠巻きに二人のことを見てコソコソ話をする人達がいたけれど、琉生が隣にいてくれるので佑里斗はそこまで気にせずに居られた。  けれど講義が始まる時間ギリギリまで傍に居てくれた彼が「じゃあ出るな」と離れてしまうと、途端に周りの声が気になって俯く。  聞かなきゃいいのに聞いてしまう嫌な言葉。  例えば『どうしてあのカッコイイ先輩がオメガにかまうのか』とか、『あの人はアルファだって噂だから、オメガを気にかけてあげてるだけ』だとか。    むぐっと一人唇を噛んで耐える。  確かに琉生はアルファだし、佑里斗はオメガで傍から見ればそう思われるかもしれない。  それにきっかけは性別のことがあるかもしれないが、今はそんなこと関係なくお互いに惹かれている。   ──俺達は恋人同士だし。  アルファから情けを貰っているわけではない。  好きで一緒にいるのだから、適当なことを言わないでほしい。 ──でも、まさか恋人同士だとは言えないし    複雑な気持ちのまま講義が始まり、あまり集中できずにその時間を過ごした。 ■  佑里斗と別れた琉生は空き部屋に入って講義の時間まで眠ることにした。  机に顔を伏せて目を閉じたのだけれど、その時ふと昨夜のことを思い出した。  佑里斗と『そういうこと』をしたいかと言う話になって、馬鹿正直に答えた上で嫌なことはしないから安心してと格好つけた。  けれどもし今佑里斗に発情期が来たとして、我慢できるかと問われれば頷ける自信はない。  

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