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第83話

 少し前に発情期になっていたので、今すぐに起こるわけではないとわかっているのだが、何かしらのイレギュラーがあった時を考えると不安である。  前の発情期の時はそもそも恋人同士ではなかったこともあって何とか耐えた。それでも余裕はなかったけれど。 「……」  次、発情期が来たら。  その時のことを考えて琉生は机から顔を上げ、ふぅと息を吐く。  番にはなりたい。  けれどそれはオメガからの許しがないとなれない。  佑里斗は一度番と別れた過去があるので、番になること自体に不安があるのかもしれない。だからその関係になるまでには時間がかかるだろうと予想して、ちょっぴり切ない気持ちともどかしさが生まれる。  まあ、仕方の無いことなので気長に待とうと琉生は思っているのだけれど、実際に発情期が来たとして、その時に断られたら……それはそれで辛い。 「……はぁ」  昨日プレゼントを渡した時の愛らしかった笑顔を思い出す。  抱きついてきたので抱き締め返して何度もキスをしたけれど、正直もっとくっついていたかった。  たまたま偶然、佑里斗のお尻に触ってしまったことでその時間が終わりを迎えた訳だが。    泣いている顔よりも、楽しそうに笑っている姿が見たい。  琉生の中で佑里斗に対する愛情が育っていく。    彼が傷つかないように、幸せであれるように、たくさん笑って過ごせるように。

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