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第85話

「何食べる?」 「今日はカレー食べたい」 「俺もカツカレー食べたかったんだよな」  そんな会話をしながら学食を注文し、席に座って手を合わせる。 「いただきます」 「ん、いただきます」  琉生もそうして食事を始めると、「あ、そういえば」と顔を上げたので、佑里斗は小首を傾げる。 「どうしたの?」 「午前中は何も無かった? 大丈夫?」 「あ、うん。……実はグループワークがあって、それだけちょっと気まずかったけど」 「そうか。……何かを言われたりはしてない?」 「それはいつものことだから大丈夫だよ」  佑里斗は苦笑するけれど、琉生はそれに少し悔しそうにする。  そんな時、「あの……」と力なく声を掛けられ、二人はその方向に顔を向ける。 「松井? 何、なんかあった?」 「えっとー……」  そこにはモジモジとしている松井がいて、琉生は若干顔を引き攣らせていた。 「高津君の同期の子がさ、どうしても謝りたいって俺に言ってくるんだけど……どうすればいいかな……」 「は?」  チラチラとどこかを見る松井の視線を追いかけると、そこには智の姿が。 「……謝りたいって言ってるんですか?」 「あ、うん。本人にも言ったけど受け入れて貰えないって……だからほら、ちょっと関わりのある俺に頼んでみようってことなんだと思うんだけど、」  琉生は鼻の上に皺を作ると舌打ちをして、カレーを食べていたスプーンを置く。 「佑里斗、嫌ならそう言えばいい」 「……嫌というか……まあ、嫌だけど、でも……」  ほとんど面識のない先輩を頼るくらいには、謝りたいと思ってくれているんだと思うと、佑里斗には無視が出来なかった。

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