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第91話

■  次の講義のため、佑里斗と智は一緒に廊下を歩いていた。  気まずさは残っているものの、会話ができない訳では無いので、ある程度コミュニケーションを取りながら講義室に入る。  そこには既に多くの学生がいて、佑里斗と智が一緒に居るところを見るや否や、またしてもコソコソと話をし始める。  聞こえてくる言葉は『仲直りしたのか』や『いじめてたくせに』とか、気分のいいものでは無い。  佑里斗が聞こえているそれはもちろん智にも聞こえているので、居心地悪そうに俯いている。 「大丈夫?」 「……うん。自業自得だし」  智の感じている居心地の悪さを佑里斗はよく理解している。 「別に俺の隣に居なくたっていいんだよ」 「……迷惑か?」 「そういうわけじゃなくて……」 「なら、一緒にいる」  智は眉を八の字に下げて薄く笑う。  そして、あまり周りを気にしないで居ようとしているのか、佑里斗にたわいもない話をする。    佑里斗自身も久しぶりに琉生以外の誰かとしっかり会話をするので、聞くことも、話すことも楽しくておしゃべりが中々止められないでいる。  そんな二人は講義が始まるギリギリまで会話を楽しみ、その日のうちには前のように普通に話せるようになっていたのだった。

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