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第92話
大学を終えて、琉生と二人で家に帰る。
佑里斗も琉生もいつもよりスッキリした気持ちだった。
付き合っていることを言えた上に、非難されなかったことが嬉しくて気分がいい。
自宅に着くとすぐに家事を済ませ、食事してから佑里斗が先にお風呂に入る。
「はぁ……」
続いて琉生がお風呂に行って、佑里斗は一人ソファーに寝転んだ。
気分がいいとは言っても、まだ問題は残っている。
けれど一先ずは智との関係もマシになったことにホッとした。
安心すると段々眠気が襲ってきて瞼が重たくなっていく。
抵抗することなく目を閉じて、気持ちよく眠っていた佑里斗だったが、ふと視線を感じてゆっくりと目を開けた。
「……どしたの」
「ぉ……起きた。寝てると思ったのに」
目を開ければすぐそこに琉生が居て、佑里斗はパチパチ瞬きを繰り返し彼を見つめる。
「イタズラでもしようとした?」
「んーん。キスしようとしただけ」
「……しないの?」
「する」
即答した彼にそっと触れるだけのキスをされ、ふっと微笑んだ佑里斗は手を伸ばし、彼の首に腕を回して引き寄せた。
唇をチロっと舐めれば、琉生も楽しそうに舌を絡めてきて、二人の気持ちが昂っていく。
「佑里斗」
「ん、なあに」
掠れた甘い声で名前を呼ばれ、佑里斗はキュンとしながら返事をした。
「……ちょっとだけ、触っていい?」
「えっ?」
「あ、嫌ならもちろん、これ以上はもう何もしない」
少しだけ距離を取った彼。
性的なことに対してまだ不安だと言ったのは佑里斗の方だったけれど、彼に離れられるのはやっぱり寂しい。
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