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第97話
時刻は午後九時。
そろそろお風呂に入って寝る準備をしたいところ。
「琉生」
「ん?」
「お風呂入らなきゃ」
「あ、もうそんな時間か。先入っといで」
そう言われ、佑里斗はジッと琉生を見上げる。
いつも自分のことを優先して、隣で支えてくれる彼。
そんな彼に少しでも報いたい。自分も不安ばかりを思っていてはいけないと、勇気を出すためにひとつ深呼吸をした。
「……一緒に入らない?」
「……ん?」
「いや……琉生も一緒にどうかなって……。あの……もっと琉生のことを知りたくなったと言いますか……。あ、もちろん嫌なら大丈夫! 一人で入るので!」
「は? 嫌なわけが無いですが」
琉生は真剣な顔付きで返事をすると、すぐに着替えを取りに行き楽しそうにお風呂場に向かう。
佑里斗はそんな恋人が愛しくて面白くて、着替えを持つと彼を追いかけるようにしてお風呂場に行った。
上の服を脱ぐ琉生の隣で、佑里斗はあんぐり口を開ける。
これまで何度か触らせてもらった時に気づいてはいたけれど、琉生の体は筋肉が程よくついていて、とても綺麗だったからだ。
「筋肉すごい……。触っていい?」
そう聞けば琉生は「どーぞ」と許してくれて、佑里斗は遠慮なく彼の割れた腹筋に触れた。
ボコボコしてる。硬い。そのまま手を上にずらして胸に触れる。思っていたよりずっと逞しい。そしてこんなにも綺麗だなんて。
「綺麗」
「そう? ありがとう」
「……俺の貧相な体見せたくないな」
「……まあ俺は見たいけどなぁ」
琉生は『嫌なら無理しないでいいよ』の気持ちを込め、苦笑しながら「やめとく?」と小首を傾げる。
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