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第101話
気持ちいいのだろうと痼を撫でていた琉生の手首を、震える手が力無く掴む。
顔を上げると、佑里斗が首を左右に振っていた。
琉生は慌てて指を抜き、「ごめん」と謝る。
「だ、め……イったから……そこばっかり、だめ……っ」
「ぁ……、俺あんま分かってなくて」
「ん……ま、待ってね。ちょっと、待って」
男性オメガと性行為をした経験の無い琉生は、あまりオメガの体のことがわからない。
佑里斗はハフハフと呼吸をして、息を整えると困ったように笑った。
「先輩も勃ってる」
「っ」
「触って、いい……?」
琉生は小さく頷く。すると佑里斗は躊躇うこと無くそそり立つそれに優しく触れた。
「んっ」
「琉生の、大っきい……入るかな……」
「……でも、ゴム買ってない」
「あ、たしかに。今日こういうことするって思ってなかったもんね……」
少しずつ緊張が解れてきて、会話ができるようになった。
けれど手を止めない佑里斗は、チラッと琉生を見ると「舐めてみてもいい?」と聞く。
「ぇ、嫌じゃないのか」
「うん。琉生のだし」
そう言って顔を近づけ、それをチロっと舐める彼。
琉生は決して童貞では無いが、好きな相手からこういうことをされるのは初めてなので、心臓をバクバク鳴らしながらその様子を見下ろしている。
「っん、はぁ……ちゅ、」
「……無理しなくていいから」
「んーん、だいじょうぶ」
「っ、」
正直なところ、佑里斗は口淫をすることに慣れていた。
元番である隆志はこれが好きで、やりたくないと言っても半ば無理矢理させられていたので。
でも琉生は違う。ちゃんと嫌じゃないかと聞いてくれるし、無理しなくていいとも言ってくれる。
優しい彼のことが大好きで、そのおかげか口淫をしている佑里斗自身も気持ちよくなってきてしまった。
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