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第108話
翌日。
二人は抱き合って目を覚まし、カーテンから漏れる朝日に照らされながら「おはよう」を言い合う。
穏やかな時を過ごし、一緒にお風呂に入って少し遅めの朝食をとった。
二人ともなんとなく離れたくなくて、ピッタリとくっついている。
「今日は? このままゆっくりする?」
「あ、履歴書書かなきゃ」
「……履歴書」
「うん。応募はしたから連絡が来たら面接。早く働かなきゃね」
夏休みはもう始まっているわけで、周りよりスタートが遅かった分頑張らなきゃお金が稼げない。
そんな佑里斗の考えを見抜いていた琉生は唇を『へ』の時に歪めた。
「……程々にして」
「わかってるよ」
琉生の頬に手を添えてそっとキスをすれば、への字は無くなる。
「琉生は夏休みの間何するの?」
「俺もちょっとしたバイト」
「え!」
佑里斗はムッとして唇を尖らせた。『俺が働くことは渋っていたのに自分はいいんだ!?』と文句を言いそうになって我慢した。
彼にも考えがあるのだろうし……と思って。
「何のバイト?」
なので本当に言いたい言葉を飲み込んで、別のことを口にする。
「親の手伝い。毎年長期休暇は手伝いに呼ばれるんだ」
「……そうなんだね」
琉生のご両親は何の仕事をしているのだろう。聞こうとしたが、彼がどこか嫌そうな表情をしていたので、あまり聞かない方がいいのかなと詮索しないことにした。
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