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第112話

□□□ 「じゃ、いってくる」 「いってらっしゃい」  翌日、夕方。  あまり乗り気ではなさそうな表情で出かけて行った琉生を見送り、佑里斗は一人になった。  夜中に帰ってくると事前に聞いていたので、晩御飯は適当なものを作ろうとしていたのだが、それを読んでいたかのように、彼がしっかりとバランスのいいご飯を作ってくれた。  なので心からありがたく思いながら後で食べようと、まだ湯気を立てるおかず達にラップを掛けた。  彼が出掛けるまでに二人で一通り家事を終えたので、特にすることも無い。  佑里斗も明日からバイトが始まるので、その準備……とバッグに必要な物を入れたけれどそれもすぐに終わる。  する事がないと暇だなぁと思いつつ、でもそういう状況を作ってくれる琉生は優しいなぁと心をほっこりさせる。  一人で走り続ける必要は無い。走らなきゃいけない時は隣に居てくれるし、傍に居られない時は休憩していていいんだよと、こうして教えてくれる。  佑里斗は自分も琉生にそうしてあげたいと思うのけれど、彼のように優しさを押し付けず、自然と行動できるかと聞かれると頷けなくて。 「んー……、難しい」  まあ、琉生はそこまで深く考えている訳ではないのだが、頑張っている恋人を支えてあげたいと心の底から思っているので、自然とそういった行動が取れるようになっているのだ。   「とにかく、明日の朝はゆっくり寝かせてあげないとね」  遅くに帰ってくる琉生がしっかりと休めるようにと、早速彼のベッドを整える。  そして先にお風呂に入ったあとには彼の作ってくれたご飯を食べ、眠る時間になれば久しぶりに自分のベッドに寝転がり、ちょっぴり寂しさを感じながらも暫くして眠りに落ちた。

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