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第115話
少し狭いベッドに二人で寝転がり、琉生は佑里斗を抱きしめる。
そうすると彼は空かさず胸に顔を埋めてきた。
「ん、琉生……」
「んー?」
顔を上げた佑里斗を見れば、彼は少しトロンとした目をしていて。
「どうした」
「……あの、」
「何? 言い難いこと?」
「言い難いというか……」
身動いた彼は、唇を噛むと意を決したようにジッと見つめてくる。
「発情期、近いって言ってたと思うんだけど」
「うん」
「えっと……琉生の匂いを嗅ぐと、お腹の中がキュンってして……」
「おぉ……え、俺はどうすればいい?」
「ぁ……」
このままシてあげた方が体が楽になるのか、それともやっぱり一人で寝かせてあげた方がいいのか、琉生はグルグル思考したけれど、やはりわからないので佑里斗に判断を委ねることにした。
「ぅ……もしかしたらモゾモゾしちゃうけど、抱き締めていてくれると嬉しい」
「わかった」
「ごめんね、疲れてるのに」
「何で謝んの。抱きしめていられるなら俺としては嬉しいよ」
チュッと額にキスをすれば、彼は柔らかく微笑む。
「もし辛くなったら、何時でもかまわないから起こして」
「あ……ありがとう」
「我慢しなくていいから」
「うん」
佑里斗は安心したように小さく息を吐くと、ゆっくりと目を閉じる。
そうして琉生は佑里斗が朝まで落ち着いて眠れるようにと、抱きしめたまま自身も眠りに落ちた。
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