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第119話

 せっかく番になれるのに、こんなんじゃ琉生が嫌な気持ちになっちゃうと思い、佑里斗はにこりと笑う。   「琉生、ちょっとだけお腹すいちゃったかも」 「うん、飯にするか。食べたら風呂入って、ゆっくりしてよう」 「一緒にお風呂入ろうね」 「そうだな」  キッチンに行く琉生について行こうとすれば「休んでろ」と言われてしまい大人しくソファーに座る。  コロンと寝転がると眠気が襲ってきて、少しずつ体が熱くなっていくような気がした。 「はぁ……」 「佑里斗、何でも食べれる? 軽い方がいい?」 「んー、うん」  冷蔵庫の中身を見て戻ってきた彼。  その時感じた香りにお腹がキュンとする。  昨日の夜に感じたそれよりも少し強い。  返事を聞いて「わかった」と再びキッチンに行こうとした琉生。  離れていこうとする彼を見た佑里斗は、咄嗟に彼の手を掴んでそれを止めた。 「ん? どうした?」 「あの……ぁ……服、欲しい」 「え……おぉ、今着てるやつ?」 「……うん」  モジ……と俯くと、彼が脱いだそれを渡される。  受け取ってそれを着ようとし顔を上げると、琉生は眉を八の字にして笑っている。 「可愛い……俺の着るの?」 「着ていい……?」 「うん」  軽く頭を撫でられて嬉しくなる。  佑里斗はいそいそと服を着ると、胸元をキュッと握ってスンと香りを嗅いだ。 「!」 「ん……はぁ……」  トロリ、後孔が濡れた気がする。  夢中になって香りを嗅ぎながらソファーに寝転がった。  琉生は少し荒く呼吸をしながら「もうちょっと待ってて」と今度こそキッチンに消え、コップ一杯の水を飲み崩れるようにしてしゃがみ込む。  少しずつ強くなってきた佑里斗のフェロモンの香り。  それに耐える琉生は顔を赤く染めていた。

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