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馬油(ばーゆ) 2

 先端を小さな入口に擦りつける。柔らかく解れた入口は抵抗しながら俺のを飲み込んでいく。 「あ……っ」  ユウはクッと顎を持ち上げ、ぎゅっと俺の腕を掴んだ。 「はぁ。はぁ、んんぁ」  口を開け荒い息遣いをする。  俺のを咥えてうねる肉はまとわりつき、どんどん奥へ引き込む。  ヤバイ。気持ちいい。なにこれ。めっちゃ締まる。  俺はユウの腰を掴み、歯を食いしばりながら、締め付ける肉から己を半分抜いて、また捩じ込んだ。 「うぅ……は、ぁ、あぁっ」  ビクンとユウの身体が跳ねる。  この角度で大丈夫みたいだ。  俺は、ユウの反応を見ながら、先にイかないように忍耐強くソコに擦り続けた。ユウは高く短い声を上げながら、魚のようにびくびく跳ね、膝をガクガク震わせた。 「ユ……っ……いいっ?」  グッタリした表情。虚ろな瞳でぎこちなく頷くユウ。  さっきまでの余裕がすっかり消え失せ、細く妙に艶かしい肢体は弛緩と緊張を繰り返す。  苦しげに寄せる眉も、半分開いた口も、エロいとしか言いようがない。  う……ヤバイ。あんまり観察していると先にイっちゃいそうだ。  ユウの気持ちいいポイントらしい所を擦るように出し入れしながら、頭の中で考える。  白い胸。胸の突起がツンとしていて可愛い。  昔、モデル並にスレンダーな彼女と付き合っていたことがある。彼女には失礼だから言わなかったけど、エッチの最中、漠然と「俺、男とできるかもなぁ……」と思ったっけ。まぁ、それは、真っ平らな胸でも愛さえあればって、話なんだけど……。  頬にそっと指が触れた。ユウが小首を傾げ愛らしい子供のような表情で俺を見上げている。俺は上体を倒し、挿入したままユウを抱きしめた。ユウの首に顔を埋めると、俺の頭に頬をそっと寄せてくる。 「苦しくない?」 「平気だよ」  コロコロと鳴るような声色。  チュッと軽くキスして、唇の隙間に舌を滑り込ませる。  男も女もやり方は変わらない。とユウは言った。ならば、俺のそこまで多くもない経験を総動員するしかない。  クチュと舌を絡め、時折強く吸いながら、腰をゆっくりと出し入れする。 「ん……っ」  小さな声が溢れる。リズムに合わせ吐息を吐くユウ。  中はグチョグチョで、熱くて柔らかくてとろけそうに気持いい。ユウも同じくらい気持ちいいといい。  あーでもヤバイ。もうマジで限界だ。  俺はこみ上げる熱いモノに任せて、スピードを速めた。悲しい男の性だ。こうなっちゃうと我慢できない。でもそれはユウにしても一緒だったらしい。俺につられるようにユウの呼吸はますます乱れ、腰が持ちあがり震える。俺の背中に腕を回し、ユウがしがみついた。 「う、あっ! ぁんッ! ふあっ……ひろくっっっ!」  高い声で叫ぶ。名前を呼ばれると一気に気持ちが愛しさへ傾いた。しがみついた身体に(たか)ぶりをグイグイ押し付ける。 「ユウっ……も、イくっ」 「んっ! んうあっっ!」  ほぼ同時に飛び出した声。ユウは身をギュッと縮め、触れ合った腹の間に精を放った。途端にギュッと絞られる内部。 「うっ!」  俺も体を強ばらせ、ユウを抱きしめたままドクンドクンと恥ずかしい程痙攣しながらイった。ユウは息を切らしながら、体内で跳ねる俺のに呼応するようにビクンビクンと腰を震わせた。 「はぁ。……はぁ。はぁ」  すさまじい快感に動けず、繋がったままユウの上で呆然とする。  ユウの肩に垂らしていた頭をゆっくりと上げると、ユウはだるそうな表情で顎を持ち上げ、弱々しくキスしてきた。俺もそれに習いキスを返す。  茶色の透き通った瞳。感情の読み取れない。それでいて優しい眼差し。  鼻先をユウの鼻先に擦り付けた。  どう言ったら伝わるのかな。こんなことは初めてで、特別なんだと。 「ユウ……すっごく……良かった……」  特別を表現するためになんて言ったらいいのか分からない。  それでもユウは微笑んだ。 「うん。俺も」 「ほんと?」  ユウはもう一度チュッと口づけニッコリと言った。 「ほんと」 「……気持ちよすぎて呆然としちゃってるよ……」  ユウの上からゆっくり退いて、ユウの身体をティッシュで拭う。 「それはよかった」  ユウは体をベッドにゆだね、満足そうに目を瞑ってしまった。布団を掛けて髪を撫でる。さっきの体勢からユウは動こうとはしない。放っておいたら寝ちゃうかもしれない。  ……綺麗な顔だな。  しみじみ思いながら、髪を撫で続ける。  こうやってユウは、いろんな人とエッチしてきたんだよな。男女関係なく。モテるのも分かる気がする。外見がいいだけじゃなく。  すごく満たされてるもん。今、俺。  サラサラの髪を撫でながら、頬にそっとキスを落とした。  肌は柔らかくてお餅みたいだった。 「……寝ちゃった?」 「ううん」  ユウは目を閉じたまま、心地よさそうに返事をした。 「疲れた?」 「うーん、ほどほどに」  甘い音。静かにおっとりした猫なで声。聞いているこっちも心地よくなる。肩にチュッとキスしてお伺いを立てるように言った。 「腹……減ってない?」 「そんなにぃ~」 「マジで? もう昼だよ。減りすぎて力が出ないよ~」  俺はわざとらしく嘆いて、布団の上からユウに覆いかぶさった。  ユウはム~っと眉間を寄せ、口を尖らせる。しかたないとでも言うように瞼を開けた。 「わかったよぉ~。じゃぁ退いて」 「あ! そうだ。ピザにする? 動きたくないならさ。で、夜食べに行こうか?」 「お任せ」  食に関しては本当にどうでもいい感じだな。  俺はベッドから出るとピザ屋に電話した。  寝室へ戻り布団の中に潜ると、ユウは俺を温めるように体を包んできた。 「おかえりぃ」 「ただいま」  俺もユウを抱き返す。撫でる肌はどこも柔らかくてスベスベしてる。  ……う、ヤバイかも。  俺はユウをギュウッと強く抱きしめて、腕を解いた。 「ピザ、来るからシャワーして服着てくるわ。全裸はまずいし」 「逆に行って欲しいけどね。俺は」  クスクスと笑いながらも手を解いてくれる。 「やだよ! あそこは変態だってブラック乗ったら配達拒否されるから!」 「じゃぁ、ふんどしで」 「ねーよ! どっちにしろブラックだろ。ユウはそのままでいいから」  俺は言い残し風呂へ行った。背中で「ふんどしは日本の文化なのに」とかぶつぶつ言っているユウの声が聞こえた。  シャワーのお湯を出しながら、自分の下半身を見る。  わずかに反応している息子。  あのままもう少し長くユウを撫でていたら、完全に復活していた。電話しちゃったし、とりあえずピザ食べて……それから……。  考えていると半立ちのがまた大きくなろうとする。 「待て。早まるな。その体勢でピザを受け取るのはまずいから」  俺は息子に言い聞かせ、ボディソープのポンプをプッシュした。

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