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第13話 その香り交わる

溶けて混じり合う。  なにが?  なにかが。  難しいことは分からないけれど、確かに混じりあっている。溶けて、絡んで、混ぜこまれて。 「あっ、あっん、入れていいなんてっ」  許可してない。そうつづけるつもりだったのに、荒城が続きを言わせない。 「触っていいって、言っただろう?」  唇が離れた瞬間に、荒城が言う。だから反論しようと和美が、口を開くけれど、 「あっあ───────」  荒城が和美の胎内を触ったから、和美の口からは言葉は紡がれなかった。 「胎内を触ると気持ちいいだろ?」  喉の奥でわらいながら荒城が言う。  ソコを触っていいなんて、和美は言っていない。触るのと入れるのは違うのに、荒城は胎内を触っているのだと言う。 「気持ちいいよな?」  耳元で囁く低い声。その声を聞いて、和美の頭の中が溶けていく。ドロドロに解けていくから、考えることが出来なくなる。 「触って……ぃ、なんて」  和美が、ギリギリのところで抵抗しようとしたら、荒城は意地の悪い笑いをした。 「触って欲しいのは、ここか?」  和美が、ちゃんとものを言えなくなっているのをいいことに、荒城は勝手に解釈して和美を触る。  荒城の指先が、緩く立ち上がっている和美の中心をゆっくりと撫でた。 「んぁっ」  指先がほんの少しだけ触れて、下から上へと移動しただけなのに、和美は大きく反応して喉をそらした。はだけたバスローブは、かろうじて肘から先の肌を隠しているだけだ。 「外し損ねたなぁ」  和美のクビに着いたままのネックガードに、忌々しく歯を立てる。和美の心拍数やフェロモンの数値を忙しく表示しているそれは、既にアンロックを受け付けない状態になっていた。  ネックガードごと和美の喉を舐めあげれば、和美の足がシーツを蹴る。 「触ってるだけだろう?」  緩く立ち上がっていただけなのに、荒城の掌には、和美が吐き出した欲がこぼれてきた。 「そこ、触るなぁ」  シーツを握りしめて、和美が文句を言うけれど、荒城は聞く耳を持たない。 「触っていいって言ったのはお前だろ?だめなトコがあるなんて聞いてねぇな」  荒城は手のひらに着いた和美の欲を舌で舐めとった。そうして味わってから、その手をそのまま今度は付け根から逆の方向へと移動させる。  和美は興奮していたから気づかなかっただけで、発情期になっていた身体はずっと反応をしていて、和美の太腿までが透明な液体で濡れていた。 「嗚呼、すげぇな」  荒城の無骨な指が、難なく入っていく。抵抗するような、絡みつくような、それでいてすんなりと受け入れる。 「はぁ」  和美が熱い息を吐き出したのが聞こえた。本人の意識が気がついてなくても、身体が気がついて反射をする。  掻き回して拡げて、抜き差しをする。意外にも荒城の指は器用に動いて、三本の指がタイピングでもするように、和美の胎内に刺激を与える。 「そこ、触んなぁ」  和美の体が大きく動いて、足がシーツを蹴って荒城から離れようとする。けれど荒城の反対の手が和美の胸を摘んでいた。 「いやぁ─────」  自分で招いたことだけど、身体の位置を動かしたことにより、荒城の指に皮膚が引っ張られた。荒城も分かっていて指を離さなかった。 「あぁ、ほら、真っ赤になって可哀想に」  わざと強く摘んでいたくせに、荒城は真っ赤になった和美の胸を見る。頭のてっぺんまで来た痛みに、和美は目尻に自然と涙を浮かべていた。 「痛そうだなぁ」  そう言って荒城は赤くなった箇所を舌で舐める。丁寧に、舌先でゆっくりと。  空いている反対側は、親指の腹で押すように転がした。そっちはまだ赤くなくて、小さく主張しているだけだ。  三ヶ所を同時に触られるなんて思っていなかった和美は、シーツを掴んでいた手を離して、荒城の頭を掴んだ。 「そ、んなふぅに、さわ、っ、ぃなん、てぇ」  荒城の頭を自分の胸からどかそうとしたのだけれど、荒城が口にくわえて軽く吸うから、荒城の髪の毛を掴んで腰が震えた。  親指の腹で押していただけだったのに、和美が動いたからか、親指と人差し指で強く擦られた。 「あ───────」  荒城が吸い付いた先を歯の間に挟んで、舌の先で舐めてきた。胎内にはいっている指が、掻き回すような動きで和美を広げていく。  慣れていない和美の身体は、荒城が与える刺激を丁寧に拾いすぎて、痙攣するように腰を荒城に擦り付けてける。 「未遂って確認出来たから良しとするか」  指一本許していなかった事を確認して、自分は三本も挿入した荒城は、和美がまだ固かったことに安堵した。だから、手早く掻き乱して和美の反応を見た。 「飲めよ」  わかりやすいように、ベッドサイドに開けた避妊薬の袋を置いて、ミネラルウォーターと共に和美の口に流し込む。  和美の喉が上下したのが分かった。ネックガードの下には、オメガらしく喉仏がない。なめらかに動く喉を見て、荒城は満足そうに笑う。 「毎日ちゃんと飲ませてやるから心配するなよ」  そう言ってもう一口、和美の口に流し込む。少しこぼれた水を舌で舐め取り、口の端に唇を押し付ける。 「はっ、あ?いま、の…なに?」  もう既に熱が上がっている和美は、潤んだ目で荒城を見ながら聞いた。 「ん?避妊薬に決まってんだろ」  荒城は薄く笑いながら答えた。 「あ、んたと、するなん、て、許可して、ない」  和美が抗議すると、荒城は意外そうな顔をして、和美の顔の両脇に手をついて、互いの顔を近づける。 「だって、触ってって言っただろ」  そう言って、荒城は口の端を軽くあげる。 「は?え?」  荒城の解釈が分からなくて、和美は目を瞬かせる。 「俺のモンが、お前の粘膜に触るだけだ。大したことじゃねぇだろ?」  言われて、沸騰そうな頭で必死に考える。粘膜?粘膜に触る?どう言うことなのか考えるけれど、上手く頭の中でまとまらない。 「実践で教えてやるから心配すんなよ」  荒城はそう言って和美の額に唇を落とすと、腰を軽く動かしただけで、和美の粘膜に触れてきた。 「あぁ、う、そっ」  腰が跳ねるぐらいの刺激がやってきて、和美は慌てて逃れようと足を動かしたが、腰から浮いてしまっているから、何も蹴ることが出来なかった。それどころか、足を動かしたから、逆に荒城を誘い込むような動きになってしまった。 「ほら、ゆっくり触ってやるからな」  両手を和美の頭の脇についたまま、荒城はゆっくりと腰を動かしていく。その動きに合わせて、和美の粘膜を押しつぶすように荒城が触れていく。 「あっ、あっ、あっ、そ、んなぁ」  ゆっくりゆっくり、腰が上げられていくから、和美の体勢が変わっていく。見つめ合う荒城との位置は変わらないと言うのに。 「んー、この辺とか、どうだ?」  荒城が腰を軽く揺すりながら和美に問う。粘膜をゆっくりとつつく様に動かしてくるから、和美は軽くパニックを起こしていた。ほとんど経験がないから、そもそも初めては荒城のせいでヒートを起こしていたから、ほとんど記憶にないわけで、今現在荒城にされていることが全く理解できない。  けれど、確かに触っているだけ。と言われれば間違いではない。 「ひっ、ん……そこ、さわん、なぁ」  荒城の太腿が和美を持ち上げている体勢で、荒城が和美の粘膜を押すように触れてくる。 「んー、触っちゃいけないトコがまだあったのか?」  そんなことを言いながらも、荒城は腰を上下に小刻みに動かしている。 「んっ、んんっ、そっ、こ、ダメ、だ、メェ」  荒城の動きに合わせて、和美の腰も小刻みに上下して、触って欲しくないトコに荒城が何度も触れてくる。 「んー、じゃあ、ここはやめとくかぁ」  荒城は意地の悪そうな笑い方をして、和美の顔を覗き込んだ体勢のまま、腰を前へと動かした。 「あっ、あ─────────」  身体を織り込まれるように押されて、和美の粘膜を荒城が押し広げるように触ってきた。 「ぃやあぁぁぁ」  和美の口から力のない声がこぼれた。  全身が小刻みに震えて、止まらない。必死でしがみつくシーツは、和美の手を中心に大きくシワを作っていた。 「なんだぁ、これでトンだのか?」  荒城は上から面白そうに和美を見た。焦点の合わない目は、荒城のことを捉えておらず、どこか違う世界を見ているようだ。 「まったく、俺の番はかわいくて仕方がねぇな」  そう言って唇を舐めてから、荒城は腰を動かすのを再開した。今度は和美の頭を抱え込んで、唇をしっかりと合わせる。こちらは粘膜と粘膜の接触だ。  できる限り隙間を作らない様に接触させて、小刻みに腰を動かして位置を調整する。  その小さな動きに反応して、和美の身体が何度も小さく跳ねる。互いの汗ばんだ肌を擦り付け、可能な限り触れ合う面積を増やしていく。そうして、そうすることで、グズグズでドロドロになっていく。

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