24 / 91

柊木組

総会が始まるやいなや昔馴染みの柊木(ひいらぎ)組の若頭が龍臣の側に寄ってきた。 部下が龍臣を守ろうと身を乗り出すが、龍臣が手を広げて制止し 「問題ない。下がっていろ」 「うす」 「よぉ、竜胆(りんどう)」 「柊木」 「久方ぶりだな?調子はどうだ?」 「別に可もなく不可もなくだ」 「おまえ…Ωでも飼いはじめたか?」 「なっ…何を言って」 「いや、おまえからΩの匂いを感じてな」 「匂いって…まだ番ってないからそこまでじゃないはずだが…」 「発情期が近いΩなら匂いが移るほどフェロモンを発する。俺が飼っているΩたちも同じような匂いを出す」 「相変わらず下衆(げす)いな。今、何人飼っている?」 「3人…かな。どの子も平等に可愛がっているから問題はないよ」 「同時に発情したらどうする気だよ」 「そのためのクスリだろ?きちんと調整しているから気にすることはない」 「それより、龍臣。おまえ、ガキの母親はαだったろ?Ωとどうこうなる気なんてないし、そもそももう(めと)らないんじゃなかったのか?Ωを拾っても全部、高値で売っていたろ?おまえ」 「ああ。これからもそれは変わらないが気が変わった。あれは別格だ。誠哉には母親が必要だしな」 「なのにまだ番じゃない?変なの。他人に食われる前に噛んじまえよ?」 「分かってる。この総会が終わったらそうするさ。おまえこそ3人も囲っていないでどれかを番にすればいい」 「どの子も愛しているから難しい話だな。番わずとも絆はあるから大丈夫だ」 「そういうものか?」 「ああ。それに今さら誰か1人に絞ったら残りの2人が何をしでかすか分からない。今のままが平和だ」 「まあ柊木。おまえがそれで幸せな ら問題は無いよな」 「ああ、問題無い。じゃあ待たな?竜胆」 「ああ柊木。またいずれ」 総会は滞りなく進み、龍臣は誠哉の待つ部屋へと真っ直ぐ帰ってきた。

ともだちにシェアしよう!