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誠哉、ご機嫌ななめ

誠哉は猛スピードでホテルの部屋の中をハイハイで疾走していた。 「だーっうーっ」 「坊、こらこら暴れすぎだ。ぶつかるって!どうした?パパか?パパに会いたいのか?もうすぐ戻ってくる」 武下が追いかけるも誠哉はハイハイをやめず、縦横無尽に這いまわり武下は誠哉を捕まえれずに手こずっていた。 ほどなくして龍臣が部屋に帰ってくると、龍臣は暴れる誠哉に両手を広げた 「誠哉」 「お、戻ってきたな。よかったな?坊。パパが帰ってきたぞ。おつかれさまです。龍臣さま」 「うやーっ」 「なんだ。抱っこ拒否か?機嫌悪りぃなら。いつからこんな調子だ?武下」 「1時間くらい前ですかね?おむつは綺麗だし、おやつもしっかり食べたんで腹減りって訳でもなさそうですしね。てっきりパパロスかと思ったんですけどそれもどうやら違うようですね」 「熱でも出さなきゃいいがな。不機嫌の理由がよく分からん。母親なら何か気づくこともあるだろうが、父親じゃやれることにも限度があるな」 「母親…。そうか…。若っ、あずささんですよ!」 「あずさ?」 「間違いなくそうですよっ若!この3ヶ月あずささんがべったり誠哉さんを構っていたからなんでいないのかが理解できないんじゃないっすか」 「なるほどな。それは一理あるな。よし、誠哉。今からママに電話をかけるか?きっとママも寂しがっているぞ」 「あうーっ」 誠哉は龍臣のあぐらの中に得意気に座り、ご機嫌さを現した 「ちょっと待ってろよ、誠哉」 龍臣は携帯電話をジャケットのポケットから取り出し、自宅へと電話をかけた。 「しかし…こんなことならあずさに携帯を持たせておくんだったな」 何回かのコールの後、電話に出たのは家政婦の(たちばな)だった。 〝もしもし、竜胆でございます〝 「橘か?龍臣だ」 〝龍臣さま。総会は順調でいらっしゃいますか?〝 「ああ、問題なく経過している。ところであずさは電話口に出せるか?」 〝あずささんですか…お呼びしたいのはやまやまなのですが、あずささんは蒼炎さまとともにお出かけになられまして現在、屋敷には不在となっておられます〝 「はぁっ?!どういうことだ、それ」 〝橘には、存ぜぬことでございます〝 「分かった。ご苦労」 〝力及ばずで申し訳ございません。それでは、失礼させていただきます〝 橘との電話を切ると、龍臣は蒼炎の携帯へと電話をかけた くそっ…あいつらどこへ行きやがった! 「龍臣さま?」 「あずさのやつ、親父とどっかに行っているらしい。何がどうなってるのかさっぱり分からんっ」 龍臣のイライラが誠哉にも伝わり、誠哉は不安そうに龍臣を見上げた 「まー?」 「ごめんな?誠哉。あずさは親父と一緒に屋敷から外出してるそうだ。何の用かは分からんがとりあえずじぃじに電話をかけているからもうちょい待ってろ」 「…むー」 誠哉はあずさの声が聞けず、不機嫌な声をあげ眉を寄せた

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